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「ひと手間」が差別化のポイント! 失われたフェイシャル手技研究

技術 -

時代とともに廃れる・簡略化される。この現象、実はエステティックにもあるのです。そんな「失われた手技」をめぐって、本来のエステティックとはなにか? ということを平地孝子先生にうかがいました。

 

 

見て、聞いて、触れて最適なフェイシャル提案を

 

最近のフェイシャル施術は、以前と比べて多くのものが簡易的になりすぎているように思います。高機能な化粧品や機器が多く登場してきましたし、もちろんコスト面も考えていかなければなりませんから、それに伴って施術のプロセスが省かれていくことは自然なことなのかもしれません。しかし、人の顔・体のつくりや、筋肉などの組織は大きく変わらないですよね。だからこそ私は、現在ほとんど使われていない技術も見直し、掘り起こすなどして、常に研究し続けています。

 

本来エステティックというものは、もっとお客様一人ひとりに合わせた施術をし、喜んでいただくものだと思います。そのためにもお客様のお顔と会話をすることは絶対に忘れてはいけません。お顔には体のすべてが現れてきますから。私にとってカウンセリングシートはあくまでも記
録のためのもの。状況によってお客様の肌は変わるので、見て、聞いて、そして触れることで、その時一番必要なケアをご提案できるのです。

 

お話をうかがった方:平地 孝子先生
一般社団法人 日本エステティック協会名誉本部講師、名誉会員。同協会理事・教育委員、またサロン経営の傍ら、國學院大學美容活動研究会技術顧問を歴任。

 


 

失われた極秘手技1「予備マッサージ」

 

クリームを伸ばしながら導入マッサージを行なったあと、次のマッサージへの「つなぎ」として、肌状態を手で確かめる目的で行なう。肌の柔らかさ、筋肉の厚さを手で確かめることで、その後の施術をよりカスタマイズできます。(平地先生)

顎先から額にかけて、4本の指を使って交差させながらマッサージ。乾燥していると、ざらつきやごわつきが気になることも。

 

らせんを描くように肌をつまみ上げていき、こめかみ部分は一番強く押す。

 

始点と反対側の額までマッサージ。左右で一巡して終わり。マッサージ中、クリームの浸透度によっても肌状態を確かめる。

 


 

失われた極秘手技2「鼻筋へのアプローチ」

 

目鼻立ちに悩みを抱えるお客様はとても多いです。それはどの時代でも変わりません。そして、一番お顔のなかで劣化が目立ちやすいところもまた、目鼻立ちなのです。マッサージでこの部分を整えてあげることでくっきりとし、美しくなります。(平地先生)

3本の指で、眉間の肌を引き上げる。引き上げた手はそのまま。

 

マッサージの順序は中心から。3回にわたって親指と人さし指で鼻筋に触れ、外側に降ろしながら整える。

 

苦しくない程度の力で降ろし、そのまま下にスッと抜く。途中で止めないように注意。

 


 

失われた極秘手技3「目もとから額のケア」

 

額はとても年齢が出やすいところ。エイジングのお悩みを抱えていらっしゃるお客様には、ぜひ取り入れたいプロセスのひとつ。決して強い力を加えてケアする必要はなく、間違った方向に力を加えないことが重要。(平地先生)

 

指3本を使い、眉間を押さえながら額に向かって肌を引き上げる。

 

眉間から額の生え際まで、すくい上げるようにしてマッサージ。肌を回転させるようなイメージで。左右に向かって、しわを伸ばすようにマッサージ。

 

生え際で親指を固定し、人さし指と中指でつまみ上げるようにマッサージを繰り返す。

 

 

 

もともとは施術に組み込まれているはずのマッサージたち。お客様の肌に触れることで、次のステップの強弱や化粧品などを考えるという目的で使用されていたものなので、ぜひ注目してみてください。