合理的根拠がないとガチでヤバい!毛髪サプリも措置命令 広告NG事例
実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。今回は、それまで対象とされなかった表現に対して初の措置命令が出された事案を紹介します。
【内容】
平成31年3月29日
消費者庁は、株式会社アルトルイズムに対し、同社が供給する『黒フサ習慣 ブラックマックスS』と称する食品に係る表示について、消費者庁及び公正取引委員会の調査を踏まえ、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、措置命令を行ないました。
【措置命令の概要】
(表示媒体)
自社ウェブサイト
(表示内容)
あたかも、本件製品を摂取することで、白髪が艶のある黒となる効果が得られるかのように示す表示
●黒髪の人物の写真とともに、「白髪染めはしたくない!」
●「ロマンスグレーはまだ早い!」
●「艶のある漆黒にあこがれる世代の方に!!」
●「さあ!“黒活”をスタートしましょう!」 など
また、これらの表示について、自社ウェブサイトにおいて、「※使用感・結果には個人差があります。」と記載していたが、当該記載は、一般消費者が当該表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではない。
【実際】
当庁は、アルトルイズムに対し、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料は、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認めないものであった。
【命令の概要】
本件商品の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、同様の表示を行なわないこと。
【法律家による解説】
今回は、髪の毛に関する効果を訴求するサプリに対して、初めて措置命令が出された事案です。
そもそも、健康食品においては、薬機法上、医薬品的効能効果を広告することができません。髪の毛に関して、その色が変化する効果、あるいは、育毛効果や発毛効果を広告することは、いずれも医薬品的効能効果の広告となるため、薬機法に違反します。加えて、そのような効能効果に合理的根拠がない場合には、景品表示法上も優良誤認表示となり、今回のように措置命令が出されることにもなります。
ここ数年、今回のように、それまで対象とされたことがなかった商材や広告表現について、措置命令が出されるケースが多くみられます。これまで措置命令の前例がなかったとしても、合理的な根拠の有無をしっかりと確認し、適正な表示をする必要があるでしょう。