使用感・結果には個人差があります。これがダメな理由知ってる?広告NG事例
実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。今回は、打ち消し表示の記載についてご紹介します。
【内容】
平成31年1月17日
消費者庁は、株式会社はぴねすくらぶに対し、同社が供給する『酵母と酵素deさらスルー』と称する健康食品に係る表示について、景品表示法に違反する行為(同法第5条第1号(優良誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1頁の規定に基づき、措置命令を行ないました。
【措置命令の概要】
(表示媒体)
自社ウェブサイト
(表示内容)
あたかも、本件製品を摂取するだけで、特段の食事制限をすることなく、本件製品に含まれる成分の作用により、容易に痩身効果が得られるかのように示す表示
●「酵素酵母乳酸菌のパワーでダイエット!」
●「食べることが大好きなあなたへ!」 など
また、これらの表示について、自社ウェブサイトにおいて、「※使用感・結果には個人差があります。」と記載していたが、当該記載は、一般消費者が当該表示から受ける効果に関する認識を打ち消すものではない。
【実際】
当庁は、期間を定めて、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から資料が提出された。しかし、当該資料はいずれも、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものであるとは認められないものであった。
【命令の概要】
再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。今後、前記の表示と同様の表示を行なわないこと。
【法律家による解説】
今回の事案では、優良誤認表示がされている場合に、いわゆる打消し表示の記載があっても、消費者の誤認は解消されないことが明言されています。
打消し表示とは、広告の中で強調されている事項について、その例外や条件を記載する表示のことを言います。しかし、一般的に打消し表示は、文字が非常に小さかったり、内容が分かりづらかったりするため、消費者が打消し表示に気付いたり、その内容を理解できることが期待できません。
今回の事案でも、打消し表示は、ウェブサイトの最下部に、非常に小さい文字で記載されていました。また「結果には個人差がある」との表示を読んで、当該サプリを摂取しても痩せることはないと認識することはとてもできません。打消し表示によって広告の問題点が解消されることは期待すべきではないということです。