クローズドな医療用医薬品でも見逃さない!監視モニター制度
実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。今回は、比較的取締りが難しいとされる医療品医薬品の広告違反をチェックする広告活動監視モニター事業の例を紹介します。
【内容】
平成31年3月
厚生労働省は、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が平成28年より2年間実施した医療品医薬品の広告活動監視モニター事業の報告書を東京都薬事審議会に提出した。
【目的】
広告違反に該当する行為を早期に発見して、行政指導などの必要な対応を図るとともに、製薬企業や業界団体等による自主的な取り組みを促すことなどにより、製薬企業による適正な広告活動を確保するための環境整備を進めること。
【不適切なプロモーション活動の例】
本事業を含め過去3年で得られた疑義報告事例、事例検討会での検討結果をもとに不適切として挙げられた主な行動を以下に示す。
〇承認範囲外の効果効能や用法容量をほのめかす説明
〇エビデンスがない説明や、効能効果・安全性能を誇大に見せる説明
〇事実誤認のおそれのある構成・表現を用いた資料 など
【今後の課題と提案】
今後の広告活動監視モニター制度の在り方等についての課題と提案として、以下の4点を挙げる。
〇モニター医療機関のさらなる拡充
〇広く一般の医療関係者が常時、不適切事例を報告できる公的な報告制度
〇不透明な実態を避けるため、資料提供などのルール化
〇製薬企業や業界団体みずからがコンプライアンス遵守の徹底を図り、適切な販売情報提供活動を行なうよう努力していくこと
【法律家による解説】
医療用医薬品については、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告が禁止されています。そのため、販売者である製薬会社にとっては、いわゆるMRと呼ばれる販売担当者による、医薬関係者に対する、口頭での広告が非常に大きな役割を担っています。そのような形態での広告は、ウェブサイトやチラシ、テレビ広告などの一般人を対象とする広告と異なり、クローズドな場で行われることになるため、法律に違反する広告がなされても、取締りが難しくなります。そこで、厚生労働省は、広告活動監視モニター制度という、医薬関係者から直接法律に違反する広告事例を収集する仕組みを設けています。
化粧品などの場合には、クローズドな場での広告について問題が表面化することは少ないかもしれませんが、実際に口頭での広告が摘発された事例もあります。