医薬品の販売だけじゃない!化粧品や健康食品への適用も広告NG例
実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。今回は、薬機法改正による課徴金制度適用の議論についてご紹介します。
【内容】
平成30年12月14日
厚生労働省は、厚生科学審議会の医薬品医療機器制度部会に対し、「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」を提出した。
【基本的な考え方】
経済的利得を主たる目的として行なわれる類型の違法行為を抑止する措置や、未承認の医薬品・医療機器等の個人輸入や偽造品の流通に関する不正事案等を踏まえた適切な措置等について検討すべきである。
【具体的な方向性】
●ほかの行政処分が機能している場合等には課徴金納付命令を行なわないことができるものとする除外規定を設けること。
●不当な経済的利得が一定規模以上の事案を課徴金納付命令の対象とすること。
●課徴金の額の算定については、違法行為の対象となった製品の売上額に一定の算定率を乗じる簡明な算定方式を採用すること。
●納付命令の実施主体については、国と都道府県等の双方に権限を付与すること。
【とりまとめについて】
各事項について、厚生労働省は、法制化の作業を迅速に進めていくほか、必要な施策を推進していくよう求める。また、とりまとめた基本的な考え方に基づき、医薬品・医療機器等の品質、有効性及び安全性の向上に資する措置については、今回とりまとめた内容にとどまらず、必要に応じ実施していくべきである。
【法律家による解説】
昨年末、厚生労働省の厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)において、薬機法を改正し、課徴金制度を導入する方向で議論がとりまとめられました。課徴金制度導入の背景には、大手製薬会社が販売していた医薬品の臨床試験のデータが不正に作られていた事件があります。不正があったにも関わらず、当該医薬品の販売による利益は製薬会社が得たままになっていることから、そのような利益を吐き出させるために課徴金制度が必要ではないかという議論につながったのです。
ただ、「とりまとめ」においては、課徴金制度は、必ずしも医薬品の販売に限って適用されるものではなく、化粧品や健康食品への適用も視野に入れられていることが示唆されているように読めます。具体的にどのような制度設計になるのか、法改正の行方に要注目です。