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二つの価格を併記 する「二重価格表示」はなぜ問題になる?

広告NG事例 -

実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。サロンのDMやチラシに同じような表現を使っていないか、業界関係者なら知っておきたい法律豆知識が満載です。

今回は、2つの価格を並べて表記する「二重価格表示」について。

 

【内容】

平成30年3月16日

消費者庁は、ジュピターショップチャンネル株式会社に対し、景品表示法に違反する行為(同法第5
条第2号(有利誤認)に該当)が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行ないました。

【表示の概要】
〈49%OFF!〉 明日以降192,240円⇒97,800円
実際の販売価格に当該価格を上回る「明日以降」と称する価額を併記した映像を放送することなどにより、あたかも、「明日以降」と称する価額は、本件製品について当該セール企画終了後に適用される通常の販売価格であって、実際の販売価格が当該価格に比して安いものであり、かつ、本件に係るジュピターショップチャンネルの実際の販売価格は、同日時点において他の販売事業者では通常設定できない安いものであるかのように表示していた。

【実際】
当該セール企画終了後に販売される期間は3日間のみであって、ごく短期間のみ「明日以降」と称する価格で販売するにすぎなかった。
当該価格での販売実績もジュピターショップチャンネルにおいて実質的に問われないものであって、将来の販売価格として十分な根拠のあるものとは認められず、かつ、同日時点において、本件製品を同社と同程度又は下回る価格で販売する他の販売事業者が複数存在していた。

 


 

■法律家による解説■

商品を割引価格で販売する際、割引前の価格と割引後の価格を併記することがあります。二つの価格を併記するので、これを二重価格表示と呼んでいます。二重価格表示をする場合、割引前の価格を過去の販売価格として表示する場合には、どの程度の販売実績があればよいかについて、消費者庁が詳細な条件を定めており、その条件を満たさなければ有利誤認表示となるおそれがあります。一方で、割引前の価格を将来の販売価格として表示する場合については、明確な条件が定められていません。しかし、その場合でも有利誤認表示となる可能性があることが、今回の措置命令で示されました。割引前の価格を将来の販売価格として表示する場合でも、基本的には過去の販売価格として表示する場合と同程度の将来の販売実績が必要になると考えた方がよいでしょう。

 

アドバイスをいただいた方
弁護士 成 眞海氏
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
TEL:03-5224-3801