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3.6%以上のグリコール酸製剤が劇物指定に、エステへの影響は

業界ニュース -

厚生労働省は、毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令(平成28年政令第255号。以下「改正政令」という)を2016年7月1日に公布し、毒物に2種・劇物に6種、計8種を新たに毒物、劇物に指定した。

この中でも、特に美容業界において注目されるのは新たに劇物指定された(1)グリコール酸及びこれを含有する製剤(ただし、グリコール酸3.6%以下を含有するものを除く)(CAS No.:79-14-1)だ。

グリコール酸とは、グリコール酸、ヒドロキシ酢酸、α-ヒドロキシ酸、を指し、皮膚・毛・爪のケア製品(化粧品)、洗浄剤、塗料剥離剤、繊維加工仕上げ剤、pH調整剤、有機化学合成の出発物質として使用されている。エステ業界、化粧品業界においても、グリコール酸の角質剥離作用を生かし、ピーリング施術や一般化粧品としてニキビやしわ、くすみなどをケアすることを目的に利用されている。

政令は、既に製造、 輸入及び販売されている実情にかんがみ、改正政令の施行日(2016年7月15日)において、現にその製造業、輸入業又は販売業を営んでいる者については、2016年10月31日までは、毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号。以下「法」という)第3条(禁止規定)、第7条(毒物劇物取扱責任者)及び第9条(登録の変更)の規定は適用しないほか、改正政令の施行日において、現に存するものについては、同日までは、法第12条(毒物又は劇物の表示)第1項(法第22条第5項において準用する場合を含む)及び第2項の規定は適用しない。

3.6%以上のグリコール酸が含まれている粧材で施術しているエステティックサロンにおいては、お客様へ製品を販売しない限り届け出の必要はないが、毒物及び劇物取締法第12条

(1)毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物の容器及び被包に、「医薬用外」の文字及び毒物については赤地に白色をもつて「毒物」の文字、劇物については白地に赤色をもつて「劇物」の文字を表示しなければならない。

(3)毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に、「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。

という法に基づき、鍵の掛かる場所で、白地に赤文字で「劇物」と表示し、いつどれ位の量を仕入れ、どれ位使ったのかを記載する必要がある。また、シャーレなどに取り分けて後日使用する場合においても、劇物だとわかるよう表示し鍵の掛かる場所へ保管しなければならない。

さらに、万が一盗難などに遭った場合には、第16条2の
(2)毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。

に基づき届け出が必要となる。
保健所などの立ち入り検査があった場合にも応じる必要があるため、スタッフへの指導・お客様への販売方法(登録済みの製造メーカーからお客様への直販売はOK)など、今月中の指導が必要になる。仕入れ先への確認・保管場所の確保など、早急に対処して欲しい。

●厚生労働省 ホームページ 毒物及び劇物指定令の一部改正について(通知) http://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/doku/tuuti/H280701/20160701tuuti.pdf