まるで研究会?重鎮の技を“盗み”学ぶ!参加型 IBAセミナー レポ!
2018年11月20日(火)、イルミア・アカデミービューティースクール学院長の藤井峯子氏が主宰する「IBA(ILLUMIA BEAUTY ARTSAN’s)プロフェッショナルセミナー」が開催されました。
毎回勉強になる事ばかりで、私はこのセミナーのファン。今回も参加してきました!
IBAのセミナーは、事前にディスカッションしたい内容を上げてもらい、その日のテーマを決めるという参加者主導型を取っています。
この日のテーマは
(1)筋膜リリース トリートメントの生かし方
(2)お客様を不快にさせない技術とは
(3)お客様から信頼される商品販売
の3つ。
開会時のテーマ説明で、藤井先生がこんなお話をしていました。
「先日、テレビで若い世代に『仕事の覚え方は、マニュアルをもらってそれに沿って行なうのか?もしくは、先輩の仕事ぶりを盗むのか?』と質問している番組がありました。85%は 目で盗む と答えていて、理由としてはマニュアル人間になりたくないというものだったのですが、私はこれを聞いて、少し安心しました」
目で盗む。これって、誰でも経験があることだと思います。でも、ただまねをするだけではダメ。施術の場合、同じ箇所でも真っすぐ押すのか、斜めに押すのかでも全然違います。また、力任せに押しても筋肉はほぐれずに、かえって固くなってしまうこともあります。マニュアルではなく、ノートに書き留めて自分のものにすることが大切なんですね。思い出しました~。
この藤井先生のお話から、参加者は、より「盗み学ぼう」とする姿勢が強くなったように思います。
筋膜リリースについて からスタート
ここ数年で「筋膜リリース」は、エステティック業界でも耳慣れた言葉となっていますが、まず筋膜とはなんぞや?という基本の座学が行なわれました。
様々なセミナーで聞くのは「筋膜は、全身を覆う1枚の布のようなもの」ですが、内臓や筋肉もそれぞれ筋膜で覆われていて、筋外膜・筋内膜など、いくつかの種類があるそう。しこり状のコリがある場合は、筋膜の水分が失われ固くなっている状態。それでよじれたり癒着したりしているものをほぐしてあげることで、コリが緩和していきます。
と、ここまで話した所で、いざ実践!
参加者からモデル役を募り、藤井先生がお手本を見せます。
圧迫のデモでは、「胸板が厚く、自分の身長だと力が入らない場合は、ベッドに乗ってもいいの?」という質問がでました。
答えは「乗ってもOK!」ただし、両足で膝立ちになってしまうと、逆にバランスが取れず力が入らないため、片方の膝のみ乗せるのがベスト。
「もしくは、手を逆手にして頭側とか逆側から押してもいいのよ。手はこんなに動くんだから」
と藤井先生は手首をくるくると回してみせました。なるほど~。
次々手を伸ばし、圧迫して確かめる参加者たち。みんな勉強熱心!
「筋膜リリースは痛いという声もありますが、それはいきなり深部をほぐそうとするから。まず表層をゆるめてから深部にすすめると、指も届きやすく、痛めません」
“盗み”学ぶ を実践したら、自然と片側に寄り、どんどん低い姿勢になる参加者たち
骨の際を捉えて細かくゆるゆると揺すっているように見えて、先生の指が当たっていた部分は筋膜が緩んで水路のようにペコンと路ができています。一度めよりも少し圧を強めてゆさゆさ揺すると、緊張していた筋肉が元の位置に戻り、いかり肩からなで肩に変化。「おお~」という感嘆の声が参加者から漏れました。
生徒さんが押した箇所は赤くなるのに対し、藤井先生が触れるとまったく変化なし。赤みが出ないんですよね。これには参加者一同がびっくり。熟練の技です
お客様を不快にさせないふき取り技術とは?を学ぶ!
クレンジングの拭き取り技術を例に、お客様側の目線で拭き取りを考えていきます。
やりがち、としてあげられたのは、「真横に拭くこと」。
真横に拭くと、ターバンやタオルの中にクレンジング剤が入り、髪の毛に着いて不快な思いをされるお客様が多いようです。
「誰かやってみて」と実践希望者を募ったので、手を上げてみました!
「これは大丈夫」
と多少余裕がありましたが、いざ交代してみると
「あれ?普段私どう拭いているんだろう!?」
とプチパニックに。細かい所まで意識して施術していなかったことに気付かされました。
これは私だけではなかったようで、この後もできていない方が続出!実践型のセミナーでは、遠慮せず体験してみることが重要ですね。本当に実感しました。
店内POPはどうあるべき?信頼される商品販売について
続いて、店内POPに関する意見交換。
スパで働いている方から、ちょっと面白いお話がありました。
高級感やリラクゼーション空間を演出するスパでは、POPではなく、パンフレットを置いて手に取られたお客様に商品説明をするそうです。確かに、スパで手書きのPOPを見たことはないですよね。
反対に、手作り感あふれるPOP大好き!なエステティックサロンはどうかというと・・・
貼りすぎ・書きすぎて失敗したという例があげられました。
「失敗した方は、模造紙にPOPを貼っていたのよー。学校新聞じゃないんだから止めなさい!とアドバイスして、今は一番おすすめの製品に的を絞って作っているのよね」
なるほど。おすすめ製品にしてからは、お客様からの質問が増えたそうです。
また、施術中に知識をひけらかすのはNGだけれど、その点POPでは思う存分にアピールしてOK。POPこそ、知識や思いを伝えるのによいアイテムだと気がつきした。これは気がつきませんでした、今後はPOPの活用法も変わってきそうです。
みんなで学ぶ会は得るものが大きい!
ただ教わるのではなく、教えあう・アドバイスしあう研究会のような参加型の形式だからこそ得るものが多く、参加者もスパセラピストや美容師など、広く美容と健康に携わる方ばかり。とても刺激になりました。仲間と学びあうのって大切ですね!
今年は今回で最後でしたが、IBAプロフェッショナルセミナーは、来年も開催予定。自身の技術を客観的に捉える機会としておすすめです!
取材・文 永山泰子(美容経済新聞社)
協力 イルミア・アカデミービューティースクール