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日本全身美容協会が40周年記念大会を開催

業界ニュース -

一般社団法人日本全身美容協会(東京都品川区、理事長 松本正毅)は、2018年11月15日(木)ホテル雅叙園東京にて、『TOTAL BEAUTY REVOLUTION 2018~心と身体のビューティハーモニー~』と題した創立40周年記念大会イベントを開催した。

 

 

同協会は1978年2月18日任意団体として発足以来、現在に至るまで協会内外に向けたセミナーや勉強会、国の機関や地方自治体との情報交換などエステティック業界の社会的地位の確立と、安定したサロン運営を築くためさまざまな活動を行なってきた。40周年記念大会となる今回は、第一部で「エステティックの未来へ向けて」をテーマとしたプレミアム講演会、第二部で創立40周年記念祝賀会が行なわれた。

 

 

松本理事長の開会宣言につづき、サプライズとして株式会社ミス・パリ代表取締役下村朱美氏とともに、2018ミス・インターナショナル1位のベネズエラ代表マリエム クラレット ベラスコ ガルシアさんをはじめとする1位~5位までの2018ミス・インターナショナル入賞者がサプライズで登場。世界一の美女達がオープニングに華を添えた。

 

 

 

プレミアム講演会は、エステの今までとこれからを学ぶ機会に



次いで、松本理事長ほか協会とゆかりの深い3人の講師によるプレミアム講演会がスタート。
まずはじめに、松本理事長より「エステティックの歴史を紐解き未来へ」と題し、エステティックがどのようにして日本に導入され発展したのかを、キーとなった人物と共に紹介。

エステティックは、芝山廉太郎氏が1896年(明治26年)横浜・山下町に開業した「パレス・トイレット・サロン(理髪部と婦人部に分けたサロン)」が始まり。その後、娘の芝山みよか氏が、単身フランスに渡り世界に先駆けてサロンを始めたと名高いヘレナ・ルビンスタイン氏のもと学んだ技術を主とした「ギンザ美容科」を開設し、エステティックサロンの原型ともいえるサロンがスタートした。

 

 

45年前、商社からエステティシャンへ転身した経歴を持つ松本理事長は、「女性のすばらしさを、もっと世界に発信して貢献したい」との思いから協会をスタートしたという。理事長として、エステティシャンとして心技一如の精神を大切にしたいと思い、協会会員に向け技術力向上・広告などをサポート。また、協会情報誌の創刊や、消費者相談窓口を設置するなど、業界の発展に努めてきた。


理事長はこれからのエステティックサロンの在り方に関し「人の真似をするのではなく、自分達なりの方法でお客様に喜んでもらうサロン作りをしていかなければ、この先よい未来はないのではないだろうか。消費者ニーズ、社会ニーズに合わせ、クレームのないサロン作りを心掛けることで、生き残れる業界だと思う」と苦言を呈した。最後に「みんなが夢と誇りをもって働ける業界をめざして頑張っていきたい、ご協力をお願いします!」と50周年に向け新たな意気込みを語った。

 

 

 

生き残るための強みはお客様の願いを具現化すること



第二講演には、株式会社リクルートライフスタイル ホットペッパービューティーアカデミー 千葉智之氏が登壇。「エステティックサロンが生き残るための“強み”の作り方」と題した講義が行なわれた。

 


始めに、現在のエステティック業界の市場動向に関して、ヘアサロン・ネイルサロンなどを含めた美容業界、健康、メディカル、癒しなど美容・健康領域の市場規模を紹介。すこし前までは、同業他社がライバルとされていたが、昨今は、もはや似て非なる他業種が競争相手となっている。

千葉氏によると、この時代必要になるのが、自分がやりたいことではなく、お客様が「やって欲しいこと」「実現したいこと」を具現化すること。そのためには「お客様に選ばれるコンセプト作り」が重要として、中小規模サロン・大手サロン・医療美容クリニックの違いを例にあげ、簡単なワークショップ方式でお店のタイプに合わせたコンセプト作りを学んだ。

 

 

プロには知識と技術が必須。それは今も昔も変わらず・・・



後半は、株式会社ラピスクーナ取締役 エグゼクティブプロデューサー 藤井峯子氏が「エステティシャンに伝えたいこと。求められるプロ意識と未来像」と題し、協会設立時から共に業界を牽引してきた藤井氏ならではの“エステティシャンに必要なこと”紹介した。

藤井氏によれば、エステティックに対するお客様意識調査の結果を見ると、実は昔と今でさほど変わらず“プロのアドバイスと技術力”が求められているという。では、どのようなエステティシャンならお客様がついてくれるのか。藤井氏は、よくある理想像ではなく、清潔感が無い・知識がない・・・など「こんなエステティシャンは嫌われる」と、悪い面から考えることでお客様に求められている“エステティシャン像”を具体化した。

また、お客様の肌に直接触れるエステティシャンだからこそ、手を通して心まで伝わってしまう怖さを上げ、「エステティシャンは、「手」で受け入れ「対話」できる技術者だから、確かな技術や接客を身につけ、スタッフのモチベーションと満足度を上げることが、顧客満足度にもつながる」と説いた。エステティシャン1人ひとりが、自分のファンを作ることで、サロンのリピート率アップにもつながる。プロ意識を持って技術や知識を磨き続けることが重要であるとアドバイスした。

 

 

個室で二人きりになるからこそ、お客様の急な体調変化にも対応すべき



最後に、高野山真言宗 護国山 金胎寺住職で、日本タラソテラピー研究所所長 志村彗雲氏が登壇。志村氏は、海外でタラソテラピー(海洋療法)を学び、専門家としてエステティック・スパ施設の構築やセラピストの教育に携わってきた経歴を持つ。

 


住職でもある志村氏は、「今、命を見つめてこそ本当のエステティックの世界へ」と題し、お客様の急な体調変化が起きた時に、対処できるエステティシャン・サロンになるにはということを具体例を上げて紹介。

志村氏が監修するスパ施設では、心臓マッサージや人工呼吸などの救命措置を受付から施術者など、すべてのスタッフが行なえるように指導しているという。


通常健康なお客様へのみ施術を行なうとされるエステティシャンだが、考えてみればたとえば個人サロンでは裸同然のお客様と二人きり。お客様が急な体調不良で倒れないとも限らない。

救急車を呼んだとしても、心筋梗塞などはできるだけ早く対処することで救命率は大幅にアップする。改めて言われると、実はお客様の命を預かっているのだということに気づかされるのではないだろうか。

志村氏によれば、心臓マッサージや人工呼吸の方法は、10人程の人数が集まれば無料で救命講習を行なっており、マスターした方には救命技能認定証の発行も行なっているという。改めて、お客様のために学ぶ事、命をもお預かりしていると気付かされた講習となった。

第二部の創立40周年記念祝賀会には、エステティックはもちろん、ヘア・メイクなどの美容業界からも多くのゲストが駆け付け、記念大会は大盛況のうちに幕を閉じた。


取材・文 永山泰子(美容経済新聞社)
関連サイト 一般社団法人日本全身美容協会
http://jtba.gr.jp/