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コスメティック総選挙を振り返って…

アナリストコラム -

当社が運営する美容経済新聞WEBニュースサイトで既報のとおり、本年3月に実施した”コスメティック総選挙2014(正式名称:業務用化粧品に関する信頼度調査)”は、ドクターリセラADSシリーズ(ドクターリセラ株式会社が3年連続、またMTメタトロン(MTコスメティクス株式会社)が2年連続の最高位を受賞するほか、エステ業界で著名な全5製品が大賞を受賞する結果となりました。

本日は、このコスメティック総選挙の意図意義などを振り返り、改めて総括をしたいと思います。

◆キッカケ

数年前のある日、エス通編集部にエステサロンを経営する女性から1本の電話がありました。

「本当に良い(効果のある)化粧品を教えて頂けませんか?」

この電話を受けたスタッフは、業界にも長くサロン運営にも精通したスタッフだったのですが、果たして本当に効果のある(効果が期待できる)化粧品とは何か?
・・・・返答に窮しました。

 

(それは、要約すると次の通りとなります)

・基本的にエステ(業務用)化粧品は、機能性コスメとして一定の効果が”期待として”ある
・機能性には、エイジングケアやアクネケアなど機能性指向単位に”基本的に”分類される
・業務用コスメの導入には、施術を伴うためメーカーのサポートが”多くの場合”必要とされる
・お客様の肌質に合っているか等、製品に関する十分な知識と理解が販売者・施術者に必要とされる

等、業務用化粧品には市販製品(制度品、一般品)以上に専門的なサービス、サポート、流通形態などの特殊なノウハウが必要とされている。

このような市場環境のため一言で良い商品というのは判断し難い面があり、また不用意にお薦めできるものでもありません。そして何より、私たちは・・「業界誌にも関わらず製品に関する体系化された情報を持っていない」ということに気づきました。しかし、それは私たちだけではなく、エステ業界にもまだそのような情報がなかったのです。

 

◆業務用コスメデータベース化へ

まず、私たちは現在、日本で販売されている業務用コスメは何製品程度あるのか調べてみました。

フルライン製品だけでも、100種類(ブランド)以上あり、美容液など単体製品を含めると、とても調べきれるものでは有りません。特に、業務用製品は一般向けに広報していないというケースもあり、その情報を得ることが最大の課題でした。(当時、インターンシップの大学生に延べ23名で約3ヶ月程度調べて頂いても解決が困難という結果になりました)

 

◆それならサロンさんに直接聞いてみよう!

そうなんです。最初はサロンさんに単純に「使用している化粧品を聞く」・・・それだけを目的に考えていました。実は当初、この企画は大学生向けのインターンシップ・プロジェクトとして「低予算」且つ、「社内イベント程度」で企画していたのですが、ミーティングを重ねるうちに「果たしてそれだけをヒアリングして意味があるのか?」と、具体的な価値を見出すことができませんでした。

ちょうどその頃、アイドルグループの総選挙にあやかった、▲▲総選挙・・など、様々な企画がTV、雑誌で盛んに企画されている時期でもあり、当社でもそのようなネーミングにする?という冗談がささやかれはじめました。

 

◆やるなら本気で!

時流にのるのは、とても重要なことです。また、キャッチーなネーミングは多くの読者や関係者の関心を惹きます。しかし、総選挙=ランキング化ということなら、真面目に取り組まなければ、多くの方々を傷つけ裏切ることになってしまいます。

『広告関係なく、思いっきり真面目に本気のランキングをやってみようか!』

広告売上に依存する当社としてはかなり勇気のいる決断でした。しかし営業部門からも「真面目に取り組んだ企画なら理解は得られるだろう。」その後押しもあり企画が具体化していきます。

 

◆何を「ランキング化」するのか?

・読者(=サロン様)に直接ヒアリングする
・総選挙(=ランキング化)にする

この時点で、多くの方からの理解を得られる具体的な指標が必要となりました。

・導入サロン数 ※延べ導入店舗?、現在稼動店舗?、海外含む?・・・
・販売実績 ※延べ販売個数?、年間出荷数?・・・
・売上実績 ※延べ売上高?、年間売上高?・・・
・販売経過年数 ※国内販売開始時期?海外も含む?・・・

容易な方法は、上記のようなテーマを販売メーカーにヒアリングし、数字としてまとめることが可能で、また客観的には理解いただけるものでもあります。しかし、これらのデータを単純にまとめても「面白くない」という結論に。何故なら、エステサロン様は多くの場合、女性の方々で一般にこのような数字のまとめは、一言・・・「見ない」。

そして何より、正確なデータの入手方法と証明法への疑問を解決することができません。

・・・ということで、ボツ。

 

◆それなら、『主観』を調査する

客観的なデータまとめがNGになったことで、それなら主観的な意見を調査してみることにしました。

その背景として、エステ業界では比較的に製品の世界観や、経営者(などへの)ファン(=信奉者)として、コスメを導入するなどのケースもあり、それはつまり、その製品(あるいは企業)を信頼していることから、顧客となっている。

 

つまり、信頼度調査・・・ということなる。

 

◆ヒアリング方法と、得票傾向

そこで、私たちは、単純に使用している化粧品名をヒアリングするのではなく、「あなたのお店で特にこだわって導入している化粧品はありますか?」「特に信頼し導入している化粧品はありますか?」という質問を投げかけることにし、できるだけ信奉者として使っている方からの推薦を頂けるように配慮した。

もちろん、傾向としては導入サロン数(販売数量)が多い製品ほど有利ではある。販売実績が高いことは当然に信頼の一部と私たちも見なしている。しかし、製品に対する信頼度(=依存度)が低い場合はこの限りでなく、推薦(得票)をいただけないような質問にしている。

つまり私たちが目指したことは、顧客がレコメンドしている製品の調査であり、口コミの影響力が高い製品の調査だったということになる。

 

◆受賞製品の傾向

2012年から実施し、今年で3回目を迎えた本調査であるが残念ながら今年で最後を迎えることを決定した。

その最大の理由は、受賞製品の顔ぶれが『変わらない』というランキング型イベントとしては致命的な課題を抱えていることが原因である。毎年、上位にはおよそ20製品前後のブランド名がサロン様から挙げられており、その中から上位の得票数により1位(今年は、大賞)または、次点としての部門賞を設けている。当然ながら、本来は1位から10位など順位をつけることが可能であるが、順位化することに意味はなく、また私たちにおいても9位と10位の差を明確に説明する根拠に欠ける。

そこで、得票数の上位を1位(金賞)と定めると、自然と以下製品が効果性向別に分類できることに気付いた。実は「美白系1位」や「海外コスメ1位」などの表彰制度は後から考えたものであり、最初から設定した冠ではない。

それはつまり、現在のエステティック業界においてサロンがコスメを選定する場合、美白を重視するときは●●製品、エイジングケアを重視するなら●●製品・・といったようにある程度に築き上げられたブランドから選定されるケースが多いようだ。

これを実際のメーカー側の営業現場に落として考えると、コスメ総選挙において受賞された製品については当該のポジショニングにおいて一定の地位、ブランド、信頼度、口コミ力などを有していることを前提とした横綱相撲型のマーケティング戦略を実施することが有効と判断され、また逆に新興製品においては当該ポジショニングにおける受賞製品が明確なコンペディターであることを前提とし、その牙城を崩すマーケティング戦略が望まれるのではないかと考えられる。

そしてサロンにおいては、今後の導入コスメの選考において効果性向別などの体系化された分類からの客観的な視点で検討していただくなど、新しい検討方法を見出していただき自店の特徴に見合った製品に出会うことがきることを期待している。

 

◆私たちが得た価値

私たちはこのコスメティック総選挙を通じ、実に多くのことを学ばせていただきました。

昨年までは、社内スタッフが自らサロン様に電話掛けを実施し、コミュニケーションをとらせていただくことでコスメ総選挙の集票だけではなく、本誌への貴重なご意見も賜りました。メーカー様からはこの受賞をきっかけとしてサロン様からお取引をいただいたとお喜びの声もいただきました。

しかし、やはり私たちは読者サロンさまとの接点を今後も増やす必要を深く感じました。

 

◆成果物としてのアプリ

このコスメ総選挙は、社内の小さなプロジェクトとして始まりました。

収益の無い企画とは言え会社です。何かしらのアウトプットはスタッフに求められます。また、何より協力していただいたサロン様に還元する成果物が必要です。そこで、この春、エステティック通信公式アプリ-神技エステ道-をリリースしました。このアプリには「プロフェッショナル向けコスメティック事典」として、このコスメ総選挙で得た全ての製品情報を体系化し情報を掲載しています。

サロン様には無料で全てのコスメ情報を提供しております。ぜひご活用いただければと思います。

 

◆今後について

多くの方々のご協力により3年に渡って運営してきたこのコスメ総選挙。

その背景は、ここに上述した通りとなります。

関係者の方々からは継続してこその企画だと惜しむ声を頂いておりますが、惰性になることで業界の足枷になるのではないかと危惧し勝手ながら休止させていただきました。

しかし当社と致しましては、本企画は再度内容を見つめなおし更にバージョンアップして実施したいと思っております。どうぞその機会にはご支援ご協力を賜りますよう宜しくお願い致します。

 

最後に、本企画の実施におきまして全てのお取引先様と、読者サロン様にこの場を借りて深く感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

 

株式会社美容経済新聞社 エステティック通信 編集・営業スタッフ一同

 

関連サイト

コスメティック総選挙2014年「最終決戦」 受賞企業サイト

神技エステ道 ご紹介ページ

 





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