地域の皆様とともに、豊かな未来を創造していく
自社の成長だけに注力するのではなく、お客様に確かな魅力を届けながら、エステ業界全体の価値向上をめざしていく。エステサロン「花蔵」を経営する株式会社エルピスの三谷社長にお話をうかがいました。
エステティック通信2019年2月号より抜粋
三谷 愛 株式会社エルピス 代表取締役
「美」を通して未来に、そして社会に貢献することをモットーとしている。自身も一児の母であり、子育てと仕事を両立してきた経験から、女性の自立、慟く女性を応援する企業をめざす。
本質を忘れず地域の皆様にそっと寄り添う存在へ
–新店舗オープン、創業25周年と記念すべき一年が過ぎましたね。
三谷社長 かねてから当社の願いであった丸広百貨店・川越店へのサロンオープンを果たすことができた年でした。川越という地域は、古くから地域に根ざした方々が多くお住まいであり、地域で愛されるエステティックサロンをめざし続ける当社の想いとも重なるため、長年、出店したいと考えていた場所です。当サロンが専門で扱うシミ・シワなどのお肌トラブルは一朝一夕には結果に結びつきません。定期的にご来店いただき、ホームケアもがんばっていただくことで、結果も出やすくなり、とてもよい循環が生まれます。おかげさまで、３月のオープン以来、お客様と二人三脚で取り組んできたことが実を結び、結果を出せる存在になりました。
一方で、今後は店舗数を増やす計画はありません。地域の皆様に寄り添い、いつまでもすみずみまで血が行き届く企業でありたいですから、花蔵のマインドを社員にしっかりと伝えていくには10店舗くらいがちょうどよいと考えています。
–職場環境を整えるために尽力されていることは何ですか？
三谷社長 新店のオープンもあり、従業員数は60名を超えました。入社歴の浅いスタッフが増えるにつれて、これまでのように花蔵の風土や理念をじっくり、直接伝えることが難しくなってきました。仕事の行き詰まりを感じていたり、成長へのヒントを探しているスタッフの声をていねいに拾い上げたいという想いはありつつも、一人ひとりと深く話す時間も限られてきています。しかし、店長・チーフには７年〜15年程度のキャリアを持つ人材が育っています。彼女たちから若いスタッフに指導ができるよう、意識共有する時間を大切にして、その体制づくりに力をいれているところです。
女性が自立し、価値を発揮できる社会を
–三谷社長は、エステティシャンの価値向上のための意識を強くお持ちでいらっしゃいますよね。
三谷社長 そうですね。エステティックは女性が社会で自立してがんばっていける素敵な仕事だと信じています。私自身、若い時に子どもを生んだので、子育てしながら働く大変さも知っていますし、女性が社会で自立していく時にはさまざまな障害があることも実感しています。しかしエステティックは、結婚・出産・育児とライフステージが変わっても、ずっと続けていける仕事です。ただ現状は、とても残念なことに、こんなに素敵な職業であっても、まだまだ社会的にはあまり認められていないのだなと感じることが多々あります。エステティック業界、またエステティシャンはこんなに魅力的な仕事なのだということをもっと多くの人に伝えて行きたいですし、とくにスタッフたちには、自分たちが生きる世界は、こんなに魅力があふれていると知って欲しいのです。実際に、仕事と生活を両立したいけれど、何かをあきらめなければいけないと悩んでいるスタッフも多くいます。
その点では、2017年から理事長を務めさせていただいているエステティックグランプリはスタッフにとってよいモチベーションアップにつながっていると感じています。中堅スタッフには「エスグラのあの舞台にいつか立ちたい！」と真剣に考えて、日々の仕事に取り組んでいるスタッフもいます。目標を持って働いているからこそ、技術面、知識面での成長がとても早くなっていると思います。
–業界全体への課題感は、昔から持たれていたのでしょうか？
三谷社長 経営者として走り出した当初は事業のことだけで頭がいっぱいで、エステティック業界全体のことを考える余裕はありませんでした。しかし、エスグラに出会って、経営者としてエステティック業界のためにできることがあるならばぜひやりたいという使命感が芽生えました。昨今は少子高齢化が進み、どの企業に聞いてみても人材の獲得・育成で課題を抱えていることがわかりました。人が資本となっているこの業界においては、人材の獲得は大きな問題です。
最近では、エスグラの活動の一環として、学校に職業説明会に行く機会をいただけるようになりました。一般的な職業講話は、一企業が学校を訪問するケースがほとんどです。しかし私はエステ業界全体を盛り上げるため、企業単体の利害を超えて、“組織”としてエステティシャンの魅力をもっと広く伝えられるよう、尽力していきたいですね。
