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『カテプシンV』がメラノソームの分解に関与

業界ニュース -

富士フイルム株式会社(社長:中嶋 成博)は、シミの原因となるメラニン色素を含む「メラノソーム」(*1)が表皮細胞(ケラチノサイト)(*2)で分解される際に、タンパク質分解酵素『カテプシンV』が関与していることを発見した。

『カテプシンV』は、細胞内の消化器官「ライソソーム」(*3)に存在する酵素で、その量が減少すると、ケラチノサイトにメラノソームの蓄積が多くなり、ケラチノサイトの細胞分裂が抑制されてしまうことも確認した。この結果は、カテプシンVの増減がターンオーバーによるメラニンの排出に関与していることを示唆している。また、同社は、米ぬか脂質に含有される成分「オリザノール」に、カテプシンV産生促進作用とメラノソーム分解促進作用があることを確認。さらに、本成分を世界最小クラス20nmサイズで安定にナノ分散した「ナノオリザノール」の開発に成功した。粒子径を小さくすることにより、皮膚への浸透性向上が期待できる。

同社は2013年に、ケラチノサイト内でメラノソームが分解すること、さらに、その分解にはライソソームが関与していることを明らかにしており、このメカニズムについて研究を進めてきた。今回新たに得られた研究成果を、機能性化粧品の開発に応用していく。なお、本研究の内容は、2016年3月26日から29日まで開催される「日本薬学会第136年会」で発表する予定。

*1 メラノサイト(色素細胞)内に存在する細胞小器官。シミの原因となるメラニン色素は、メラノソームに貯蔵されケラチノサイトへ移動する。
*2 皮膚を構成する細胞。角化細胞とも呼ばれ、何層にも重なった構造を示す。メラノサイトで生成したメラニン色素を取り込む性質がある。
*3 細胞内に存在する消化器官。内部に多様な消化酵素を持ち、異物を取込み消化する。リソソームとも呼ばれる。

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詳細掲載ページ http://www.fujifilm.co.jp/corporate/news/articleffnr_1020.html?link=atp64