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体に影響を及ぼす表現は医療の範囲。あなたの広告は大丈夫?

広告NG事例 -

実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。サロンのDMやチラシに同じような表現を使っていないか、業界関係者なら知っておきたい法律豆知識が満載です。

今回は、薬機法に抵触した事例を紹介します。

 

【内容】

平成27年1月30日
公益社団法人日本広告審査機構は、衣料品販売会社A社に対し、同社が販売する「ダイエットTシャツ」に関する広告表示に関して、薬事法第68条(承認前の医薬品等の広告の禁止)に抵触するおそれがあるとして警告した。

 

【表示事例】
〈対象商品〉
「遠赤外線・マイナスイオンとともに自然界最高レベルの発生値」などと説明された、ダイエットTシャツ
〈対象表示〉
A社ウェブサイトにおいて、当該商品の特徴のひとつとして「リラックス時に分泌されるα波はダイエット意識を高めます!」と記載されており、スクロールした先に、α波がもたらす良い影響として「血行促進作用」「鎮痛作用」「細胞増殖作用」「各種治療効果」などの文言を記載。ダイエットTシャツを着用すればあたかもそのような効果がもたらされるように表示されている。

 

【警告の概要】
前記の表示は、医療機器でなければ謳うことのできない身体の構造または機能に変化を及ぼす効能効果を表示しており、また、たとえ本商品に配合された成分自体に前述の効能効果がある場合であっても、薬事法第68条に抵触するおそれのあるものである。
特定商取引に関する法律では、通信販売の広告において「事実に相違する表示」を禁止しており、当該広告は同法第12条(誇大広告等の禁止)に抵触するおそれがあるとし、今後は法を順守し、適正な広告・表示をするよう警告した。

 


 

■法律家による解説■

旧薬事法は、平成26年11月25日付の改正により、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に名称が変更されました。改正後は、「医薬品医療機器等法」や「薬機法」と略されるようになりました。
本事例で問題になった第68条については、旧薬事法と薬機法で、その実質的な内容に変更はなく、承認前の医療機器についての広告が禁止されています。医療機器とは、疾病の診断、治療もしくは予防に使用されるか、身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされているものをいいます(薬機法第2条第4項)。したがって、単なる雑品が、身体の構造や機能に影響を及ぼす効能効果(医療機器的な効能効果)を表示すると、未商品の医療機器について広告をしたことになり、第68条に違反することになるのです。

 

アドバイスをいただいた方
弁護士 成 眞海氏
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
TEL:03-5224-3801