株式会社アデランス
代表取締役社長・グループCEO・津村 佳宏

1982年アデランスに入社。東北営業部長、代表取締役専務などを経て、2017年に代表取締役社長COOに就任。ECSR三方よしの経営を軸に、「総合ウェルネスカンパニー」へと変貌を遂げる同社を強烈なリーダーシップで引っ張る。毛髪診断士認定指導講師の資格を持ち、理容師としての腕前は社内の技術コンテストで優勝するほど。早稲田大学卒。

逆境をチャンスに！　経営の効率化を実現

弊社は1968年の創業以来、毛髪のプロフェッショナルとして、髪に悩みを抱えるお客様をウィッグや増毛・育毛などでサポートしてきました。近年では毛髪はもちろん、その延長にある皮膚科学やヘルスケアの領域の重要性を再確認。創業50周年を迎えた2018年には、次の100周年に向けて、毛髪・美容・健康のウェルネスに貢献する「トータルビューティ&ウェルネスカンパニー」を目指す方針でリスタートし ました。

従来の髪まわりのケアに加え、スキンケア関連の『ビューステージ』というブランドを立ち上げ、本格的に スタートしたのが5年前。順調に売上を伸ばし、過去最高売上をたたき出しました。ところが、一昨年からのコロナ禍の影響で製品開発が遅れる事態に。また、弊社ではBtoC 事業を中心に行なっていたため、国内425店舗、世界の国と地域の各グループ販社の売上は激減。昨年、ようやくアメリカやヨーロッパなどでの業績は挽回したものの、日本ではまだ本格的な回復にはいたっていません。一方で、ECサイトなど通信型事業や美容院に展開する卸業は大きく躍進しました。新型コロナウイルス感染症の出現によってリアル店舗が苦戦し、苦労も少なくありませんでしたが、テレビショッピングなどの新しい取り組みを強化。コスト面においても、さまざまな無駄を見直した結果、コストも削減し、経営効率も上がりました。

大学や企業との共同開発で生み出す美容機器に期待

大変な環境でも前を向いて進まなければ未来はありません。できることから進めていき、昨年はシャープ株式会社と共同開発したドライヤー『N-LED Sonic KAMIGA』 を発売しました。プラズマクラスター*やLEDを搭載し、ヘアセットからヘアケア、スカルプケアまでトータルアプローチできる多機能ドライヤーとして大ヒット。人気アイドルを起用したテレビCMも大きな話題となりました。『KAMIGA』と同時に、プロ専用のドライヤー『Bosley LEXT Professional』も発売。こちらも多くの人にご愛用いただいており、生産が追い付かないほどの人気製品となりました。また、テレビ通販で発売したヘッドスパ機器『スパニスト』などもおかげさまで 大人気に。今後は、ヘアケア、スカルプケアの『ヘアリプロ』、美容ブランドの『ビューステージ』、プロフェッショナル製品の『ボズレー』 の3ブランドをさらに成長させていきたいと考えています。

感染状況が落ち着いてきた今年こそ「トータルビューティ&ウェルネスカンパニー」へと本格的に舵を切っていきます。とくに今年は効率性が高く、今までとは違う切り口の 製品の開発に取り組む予定です。さらに、従来のBtoCはもちろん、 BtoBやDtoCの強化も計画中。 その第一弾として、シャープ株式会社と共同開発した美容機器を今年1月より発売開始する予定です。これはホームケア機器でありながらサロン仕様の高輝度のLEDを搭載した、大変機能性の高い製品で、サロンでの使用はもちろん、店販品としての売上も期待しています。

また、アデランスグループでは、環境問題に関しても企業として責任を持って取り組んでいくべきだと考えています。昨年は環境・衛生・バイオを研究する関連会社を設立したほか、構造タンパク質開発に取り組む会社と環境に優しい人工毛髪の共同開発も進めています。こうした取り組みを通じ、社会や世界の人々に貢献しながら環境問題解決のため尽力していく所存です。

*プラズマクラスターロゴ（図形）およびプラズマクラスター、Plasmaclusterはシャープ株式会社の登録商標です。