ワックスは、凛とした心で颯爽と人生を歩み出すための施術
「美しくスピード感のある脱毛」を理念に掲げ、2011年に「一般社団法人アジアンワックシング協会」を立ち上げた松丸弘美代表に、2013年12月号でインタビューを行なっています。
松丸弘美氏
松丸 私がブラジリアンワックスの技術を習得したのは、オーストラリアのシドニー市内でビューティーサロンに勤務したことがきっかけでした。それ以前にも「Japan Nail College」でネイルを勉強したり、渡米してカリフォルニア州認定のビューティーカレッジを卒業したりして、美容業界には常に携わっていました。そんな中で海外では美容というよりもまずはエチケットとして、一般的にアンダーヘアのケアに関する進んだ考え方に触れることができました。あちらの女性はブラジリアンワックスをすることによって、ビキニなどの水着ファッションや素敵な下着など、年齢を重ねても堂々と楽しんでいます。サロンに来店し、ケアをすることによって、施術を終えた女性が内面でも自信をつけていく姿が印象的でしたね。その魅力を日本の女性に伝えていきたいと思うようになりました。
花上 海外ではアンダーヘアのケアは年齢を問わずエチケットだと聞き、正直いって男性の私は驚いたのですが、帰国してから2000年に「表参道・Shou BEAUTY SALON」をオープンされていますよね? 当初は集客の面でも苦労されたりはしませんでしたか?
松丸 当初は日本人にアピールしていたのですが、全く受け入れてもらえませんでした。集客に関しては、日本に滞在する外国人客を中心に徐々に口コミでお客様が増えていきました。私はブラジリアンワックスだけでなく、ネイルからフェイシャル、ボディまで、トータルな施術を提供しているのですが、メニューはお客様のご要望で徐々に増えていったんです。その中で外国人のお客様からは「どうして日本人の女性はファッションも美容も世界的にトップレベルなのに、アンダーヘアのケアだけは何も手付かずの人が多いの?」とよく聞かれました。文化の違いなんでしょうね。2013年ごろアメリカのヒットドラマの中で「ブラジリアンワックス」がとりあげられ、日本人女性にも徐々に需要が増え、ここ表参道などには急激にサロンが増加しましたね。
ワックス脱毛は常に進化している爽快なケアが魅力
花上 初めてブラジリアンワックスを経験した日本の女性の反応はどういったものが多いですか?
松丸 やはり「不安感」を持たれるお客様が多いですね。まず、いわゆる「ワックス脱毛」に対する不安感、「痛いのではないか?」などを取り除くのが先決でしたね。実はワックス脱毛は常に進化していて、シートを使用してはがす「ストリップワックス」から、最近では温めたワックスを肌に直接塗ってはがす「ホットワックス」と呼ばれるものが主流です。粧材が進化したことで肌への負担も軽減しました。もちろん技術的にも熟練した「TOP WAXA(トップワクサー)」が施術をすることでスピーディーにケアできるのも、痛みを軽減していると思います。また、どうしてもケアする部位が部位だけに「恥ずかしい」と思う人も多いのですが、逆に言うと一度施術をして信頼感を得ると、「リピーター」になってくれるのが強みです。
花上 脱毛方法にはたくさんの種類があると思うのですが、ブラジリアンワックスならではの強みは何だと思いますか?
松丸 やはり「爽快感」でしょうか。本当に一瞬で仕上がりが美しいアンダーヘアのケアを叶えられることですね。安全性が高く手軽な上、海外では数多くの国で一般的な脱毛法として人気があるのは、時間をかけない「手軽さ」もあると思います。ブラジリアンワックスは永久脱毛ではありませんが、施術を重ねていくうちに減毛していくのも魅力です。また体に害のない素材で作られたワックスを使用して行うために、レーザーや光脱毛では難しい粘膜部分の毛、軟毛、また白髪などにも安心して脱毛できます。実は年齢を重ねた女性の中ではアンダーヘアの白髪に悩んでいる人も多いのです。またデザイン的にもブラジリアンワックスには様々な種類があり、すべてとることから、フロントのアンダーヘアを残してデザインするランディングストリップ(長方形)やハートなどの形もあります。カラーリングする場合もあるんですよ。日本の女性はナチュラルな「トライアングル」でケアする場合が多く私も勧めています。また「清潔度」も魅力のひとつだと思います。ビジュアル面やおしゃれ感覚で始めたお客様も生理中のムレや匂いが軽減され、快適なへアレス期間を満足に過ごしていただいています。
ブラジリアンワックスはエステ業界の絶大なる次の一手
花上 今回ブラジリアンワックスに関する協会「アジアンワックシング協会」を立ち上げたそうですが、そちらの目的や理念についてお聞かせ願えますか?
松丸 2010年頃より日本人女性にもニーズが広がり、サロンや技術を教える協会がいくつかできました。しかし、中には経験や知識が不十分と思える組織も見受けられました。そこで、盛り上がりをみせた2012年に「ブラジリアンワックスの正しい知識と安全な施術法」を伝え、「勝てる技術者」の育成を目指して協会を立ち上げました。ブラジリアンワックスの本当の魅力を伝えながら、レベルの高いトップワクサーになり得る技術者を育成し、すべての女性たちが安心してブラジリアンワックスを受けられるようにしたいというのが最大の目的ですね。
花上 エステサロンにとってブラジリアンワックスはメニューに取り入れやすいものなのでしょうか? その技術自体の修得などは難しくありませんか?
松丸 最初にベースとなる毛周期などやワックスの使い分けなどに関する基礎的な知識をきちんと学べば、技術を短期間で習得できると思います。私たちの講習では毛の構造から生理周期とサロンワークで実践的に必要なことを学び、実技では腋下からフェイスワックスとセンシティブな部位に使うホットワックス製品を中心とした施術を学びます。美しくスピード感のあるブラジリアンワックスを30分以内で仕上げる、正しい技術・知識の習得こそ、私たちのめざすところです。ワックス脱毛はアンダーヘアのケアだけでなく、腕や足はもちろん眉毛や指の毛などデリケートな部分まで全身に応用ができるので、エステサロンのメニューに取り入れやすいのではないでしょうか。またコストや施術時間が短いこと等も、新規のメニューとしてリスクが少ない上に、必ず強みになると思います。リピーター獲得にもつながると思います。
花上 もともと別のメニューなどで顧客との信頼感もあるサロンなら、なおさらリピーターも生まれやすくなるということですね。松丸さんのようにトップワクサーと呼ばれるようになるには何が一番必要なのですか? やはり経験でしょうか?
松丸 確かに経験が必要ですが、その前に正しい技術や知識を習得しておくことが重要です。間違った技術・知識のもとでは、経験を積んでも美しくスピード感のあるブラジリアンワックスを30分以内に仕上げることは難しいでしょう。目標はお客様の最大の不安材料である「痛み」、つまり「痛いと言わせない施術」を提供していけるようになることが、トップワクサーの必須条件とも言えるでしょうね。ブラジリアンワックスはお客様との信頼のトリートメントです。信頼をいただけた時から長いおつきあいが始まります。エステティック業界の新しいツールとしてブラジリアンワックスは絶大なる一手になるはずです。私のサロンでも10年以上のおつきあいをしているお客様がたくさんいらっしゃいます。ブラジリアンワックスとは、「凛」とした心で颯爽と人生を歩み出すためのトリートメント。すべての女性を輝かせ続け、笑顔にすることで、日本を元気に、世界を元気にしていきたいと考えています。
松丸弘美 Hiromi Matsumaru
香港で秘書として2年過ごし、帰国後「Japan Nail College」を卒業。渡米し、カリファルニア州認定Manicuristライセンスを取得、カリフォルニア州認定「ビューティーカレッジ」を卒業。美容のノウハウを勉強する。その後、オーストラリア・シドニーでビューティーサロンに勤務。ブラジリアンワックス、フェイシャルエステをメインに修行の日々を送る。帰国後の1999年に株式会社松丸デザイン研究所を設立、2000年に東京・表参道に「ShouBEAUTY SALON」オープン、2011年に「アジアンワックシング協会」を設立し、理事長に就任。