多事業展開を強みに原価高騰の波に打ち勝つ商流維持を
原価高のリスクを分散し、値上げしない選択で前進
長く続いたコロナ禍が収束する一方で、紛争と原油価格の高騰により上がり続ける原価にとても悩まされた2023年ではありましたが、ありがたいことに弊社は前年対比114%の売上を計上することができました。
その要因としてはまず、引き続き“再生”をコンセプトに開発した次世代スキンケアブランド『ラグジュアリーシリーズ』の販売が非常に好調なこと。今やヒト幹細胞培養液を配合したスキンケアの実力は広く知られるところとなりましたが、高価なアイテムが多く、購入できる人が限られるという側面がありました。そこで弊社は、十分に効果を実感できるヒト幹細胞培養液の配合濃度を確保しつつ、大量生産でリーズナブルな価格設定を実現。さらに定期購入による販売システムを採用したことで、圧倒的なリピート率を誇る人気ブランドへと成長しています。
そしてもう一つの要因が、弊社ならではの多事業展開によって原価高のリスクを分散できたこと。世界的な物価高騰は、弊社の製品開発においても大きな負担を生じさせています。しかし、その負担を製品の値上げや自社の減益といった商流のなかで対処しようとしても、それは本質的な解決につながりません。そこで、自社努力としてほかの事業での売上をアップさせ、その利益を製品開発などに先行投資。今後も取引先サロンはもちろん、お客様にも負担をかけない運営を継続していきたいと考えています。
新規ファイナンス事業で、一層のサロン運営支援を
また、エステサロンの運営を支援するためのさらなる施策として、新たに自社ファイナンスの立ち上げも計画し、現在はその実現に向けた準備を加速させています。これは、お客様が店販品の購入や施術コース契約の際に利用しているローン契約の金利軽減を狙ったもの。例えば、サロンでお客様が1年間で10万円以上のコースを契約し、クレジット会社のローンを利用するとなった場合、製品や役務の金額に15%~18%もの金利が上乗せされることになります。そこで、弊社は5%程度という低金利で利用できるサービスを提供し、サロンを利用されるお客様のクレジット契約における無駄な金利支払いをなくしたいと考えています。
それによってサロン側もお客様に店販やコースの提案がしやすくなりますし、何よりもこのファイナンス事業で得た収入を高騰する原価の補填に当てれば、製品価格を据え置くこともできます。原価率の上昇という避けられない障害を、製品の価格に転嫁することなく、さらに結果の出る製品を提供し続けるという、これまでのスタンスをこれからも貫くための新事業。これが成功すれば、より幅広い側面からのサロン運営サポートが可能になると思うのです。
“原点”へ回帰する施策が成功と発展へとつながる!
同時に2024年は、引き続きサロン経営に関するコンサルティングにも従事していきたいと思っています。
近年、これまで集客において大きな役割を果たしていた広告(クーポンサイト)の反響が鈍化し、代わってLINEなどのSNSを活用するサロンが増えています。しかし、SNSを使ってサロンの情報をただ発信しているだけでは、“売りたい人”が一方的に発信する広告と変わらないため、反響は増えず、新規集客に失敗します。
その点、弊社の直営サロンは開業から30年間、完全会員制による“お客様の紹介=クチコミ”だけでお客様を集めてきました。お客様がサロンに対して不安を感じることなく、「このサロンの体験に行きたい!」と思えるような、安心・期待感を高めるには、クチコミを充実させることが最も有効な手段。しかし、結果を出したらお客様が必ず広めてくれるわけでもなければ、お願いして書いてもらったクチコミがすぐに集客につながるわけでもありません。「施術の感想を書いてください」と強制するのではなく、お客様に感動を提供し、自発的に情報を発信してもらう……それこそが信頼度の高いクチコミであり、自然に、そして着実に広がってサロンの評価を高めてくれます。大事なのは「本当に意味・価値のあるクチコミとは何なのか」という“本質”を見極めること。今後は、これまで弊社が積み上げてきた「クチコミを活用した集客ノウハウ」を提供することで、SNSの活用法や集客に悩むサロンへの支援も展開していきたいと考えています。
美容業界で働く人の原点には、きっと「お客様にきれいを提供したい」「美しく変わったお客様からのありがとうの言葉がうれしい」といった気持ちがあると思います。サロン運営もそれと同じで、優れた技術と商材で周りの人に自慢したくなるような結果を引き出すことで、そのお客様が信頼度の高いクチコミを広め、それがサロンの評価・人気となって新規のお客様が増え続ける。非常にシンプルですが、こうした私たちの“原点”ともいえる視点に帰ることも、安定したサロン運営を続けるうえでは必要なことではないかと感じています。
代表取締役CEO・山田 博之
10代で独立し、20歳で起業して以来、テレビ・ラジオ番組、タレントやモデルのイベント、コンセプトビルや店舗の内装、製品企画などジャンルを超えたさまざまなプロデュースを成功させる。そのバイタリティの高さを発揮し、タレント・アーティスト・モデル・DJ・MC・プロデューサー・実業家と7つの顔で活躍中。
COMPANY DATA:
1992年設立。活性酸素を除去する特許成分を配合したスキンケア製品ならびにサプリメント、補正下着、およびサポーターなど、エステサロン運営に必要なあらゆる製品を取り扱う。「美・健康・食・祝」を通じ、“より美しく生きるライフスタイルの提案”を担う総合美容企業。直営サロン運営で培ったビジネスモデルと豊富な顧客データを活用した、直販店を持つ企業ならではの販売促進企画や教育・研修などの提供も行なっている。