エビデンスのある分析で真に“お客様に寄り添った”提案を
求められるのは“可視化”と“パーソナルな提案”
――御社のこれまでの機器開発への取り組みについて教えてください。
松村CEO(以下、敬称略) もともと私は製薬会社に勤めていましたが、薬を使用した際の副作用に対して懸念を抱いていました。そんな折、海外の学会で外的刺激により「脂肪」「筋肉」にアプローチするスポーツ機器があることに驚嘆し、独立を決意。体組成に注目した美容機器の開発に取り組み始めました。そして中京大学運動生理学部研究員のお力をお借りしながら開発した、超音波Bモードを用いた「超音波皮脂厚計」が大ヒット! その後、さまざまな治験の実施とそれを活かした機器開発をくり返し、「超音波体組成計」へとたどり着いて現在に至ります。
堀家常務(以下、敬称略) どんなメニューを扱うサロン様にとっても“キー”となるのが“体を知ること”。弊社は30年以上体組成計を開発し続けていますが、2023年、その集大成ともいえるBFIメジャー『BFI―FAMUBO』が完成しました。「BFI」とは「Body Fat Index」の略で、「部分皮下脂肪」「体脂肪」「BMI」すべてに相関をもった新体系指数です。iPhoneのように小型ワイヤレス化された『BFI―FAMUBO』は、超音波により全身5部位の皮下脂肪の厚さや脂肪率の計測が可能。「部分皮下脂肪指数」を可視化できます。脂肪・筋肉・骨については、厚みや質(タイプ)などが人によって、また部位によって異なるので、「BFI」を調べることの大切さをもっと広めていきたいですね。
――体組成の可視化で、エステサロンにはどのような影響がありますか?
松村 お客様に最適なメニューを、根拠を持って提案できます。サロンにおいては、施術そのものに目が行きがちですが、重要なのはその前段階。例えば、病院ではまず検査をし、原因を突き止め、必要に応じて薬の処方や手術をするという決断に至ります。同じくサロンでも、各部位のBFIを可視化し、ウィークポイントを見つけて、そのうえで最適な施術をするべき。お客様の要望だけ聞いて施術を始めるのは、病院でいきなり手術をするのと同じことです。何が必要でどういうアプローチが適切か、エステティック業界はその“分析力”が課題。それを支えるのが、『BFI―FAMUBO』です。
堀家 『BFI―FAMUBO』は、“エステティシャンの聴診器”ともいえる存在。状態を可視化することで、その人に合った機器選定・施術などが可能になります。お客様の目標に合わせた数値設定や、瞬時にダイエットシミュレーションのイメージ画像も出るので、お客様のモチベーションアップにもつながります。
松村 これらは弊社が続けてきたデータ解析の結晶であり、30年間で培ってきた研究や学会発表のエビデンスがあるからできること。これからも、施術の安全性確保や、効果の底上げに貢献できるよう、研究を続けていきます。

――業界の発展に必要なことは何だとお考えですか?
松村 世界中の機関が発表しているエビデンスや最新の研究状況などを、もっと積極的に収集するべきだと思います。弊社が海外の展示会や学会に参加しても、日本企業はほとんど参加してないのが現状。世界では、診断や分析なしで施術方法やトレーニングメニューを決定することはありませんが、日本では“お客様主導”になりすぎているサロンも多いのでは。自身の視野を広げるためにも、世界を見てみるのも有効でしょう。
堀家 最近は頻繁に海外へ行き、展示会や学会で情報収集に努めています。日本のサロンメニューやエステティシャンの技術は素晴らしく、ていねいなカウンセリングにも定評があります。しかし、その効果を「評価」「可視化」することができておらず、体重計やメジャーでは折角の技術を十分に説明できません。
――メーカーとして、サロンのお客様満足度をさらに上げるために何をするべきだとお考えですか。
松村 エステティシャンの皆様が、お客様にパーソナルなメニューを提案できるようサポートすることではないでしょうか。我々はそのために、全身5部位の「皮下脂肪厚」「筋厚」を計測できるツールを開発。加えて、輝度分析の特許により、セルライトをカラー画像で表示するなど、全身のウィークポイントを画像、数値で可視化できるようにしました。測定機器と施術機器はピッチャーとキャッチャーのような関係で、ワンセットにしてこそ、双方の効果が最大限に発揮できるもの。弊社の高周波温熱機器『RAFOS』は、BFI測定による日本人の脂肪や筋厚のデータをもとに開発されたといっても過言ではありません。教育も一緒に進めることで、エステティシャンのレベル均一化や測定カウンセリング能力・メニュー提案力のアップにつながるはずです。
堀家 弊社では導入講習やフォロー講習のほか、実際の使い方や超音波画像の見方も伝え、測定結果からメニューを構成していく方法のアドバイスも実施。解析ができるようになれば、施術や店販の提案も変わってきます。実際に、『BFI―FAMUBO』の導入サロンからは「『RAFOS』を使うと脂肪や筋肉の付き方によってアプローチを変えられるので、施術効率が上がった」「アドバイスに納得感があり、店販売上が上がった」という声も。
松村 美容業界における競合は、今やサロンだけではなく、クリニック・接骨院・歯科領域もエステティック業界に参入しています。サロンオーナーには、経営ノウハウや美容の知識に加えて、医療をベースとした知識も必要になってくるはず。弊社では、医学的な情報も伝えられるショールーム「OPTIMUS STUDIO」を水道橋で開業中。弊社製品についてのセミナーから機器体験、理論の講義受講までできますので、どうぞいらしてください。

株式会社誠鋼社
CEO・松村 秀一
大学卒業後、大手製薬会社に就職すると20代後半で単身アメリカへ。そこで、スポーツ科学や整形領域における日本の遅れを実感し、機器の開発に着目する。1990年には超音波測定による体脂肪率測定方法を、2006年には部分皮下脂肪指数(BFI)を発表するなど、スポーツ・美容・メディカル市場で幅広く活躍。
常務取締役・堀家 潤子
大学卒業後ボストンに留学。その後、美容・スポーツ・医療のプロモーションに携わる。(株)誠鋼社では、BFIエグゼクティブプロデューサーとして、超音波計測を軸に、深部加温高周波「ラフォスセラピー」のコンテンツおよびメソッドを開発。現在は日本人の体型や体質に合わせたさまざまな高周波セラピーの理論と実技セミナーなども実施。
COMPANY DATA:
「世にないものを造る」「日本にないものを運ぶ」 「Innovative Republic」を基本精神に、技術&ソフト&プログラムの開発を手掛ける。現在BFI測定機器は世界に広まり、世界の美容機器企業や美容家により愛用されている。また、開発の一方、販売戦略や販促を手掛け、特に自社測定機器を使ったプロモーションや医療の知識により、スポーツ、美容、メディカル市場での販売戦略は大手企業が採用している。