互いの実力を認め、讃え合う場を創造し続ける
縦の壁も、業界の壁も、なくなってしまえばいい。互いに違いを認め、面白がることこそが、美容業界の活性化には不可欠と語る志田社長のインタビューです。
エステティック通信2019年2月号より抜粋
志田 伊織 株式会社ピュアリー 代表取締役
化粧品メーカー、エステティックサロン、ヨガスタジオを経営。美容業界を盛り上げるべく「エステティックグランプリ」を立ち上げ、初代理事長を務める。芸能人ブランドコスメや美顔器のプロデュースも手がけるなど、マルチな才能で人々を魅了する。
同業他社は、仲間でありよきライバルである
–2018年を振り返って、いかがでしたか?
志田社長 自社ブランド化粧品の開発に取りかかるなど、メーカーとしての稼働に注力した一年でした。ほかにも、芸能人ブランドの立ち上げプロデュース、デリケートゾーン専用コスメのリリースなど忙しくもありましたが、たくさんの素晴らしい出会いにも恵まれましたね。
–志田さんといえば人脈が広い印象ですが、さらに人脈拡大ですね。
志田社長 そうですね。私は、同業他社との情報や意見交換があってこそ業界が活性化すると考えているので、今年も引き続き、人とのつながり、とくに横のつながりを大切にしたいです。
–その思いが詰まったエステティックグランプリですが、昨年はパシフィコ横浜での開催で規模も拡大しましたね。
志田社長 第8回大会となり、エントリー総数は526サロンと盛大な開催となりました。素晴らしい技術や成績をみんなで盛大にお祝いしよう! という祭典ですが、現役のエステティシャンにとってこうした表彰の祭典は、モチベーションを維持するためにも不可欠です。そんな讃え合う気持ちが人を幸せにするのですから、お客様の幸せを願うエステティック従事者にとって、人を讃える精神はマストだと思うんですよね。
–牽制し合うべきではない?
志田社長 同業他社はよきライバルであり、よき仲間でもあります。自分の技術や知識、情報を詳らかにしたところで、努力の積み重ねによる実力のともなった“本物”であれば、簡単にまねなんてできない。情報をオープンにすることで、尊敬につながり、刺激にもなる。自分にない新しいものを気付かせてくれる。それがライバルであり仲間となれることの素晴らしさだと気付いてほしいですね。
違いを面白がることが互いの成長を促進する
–自社製品といえば、ピュールビオ シリーズですね。
志田社長 はい。5月にシリーズとしてアイクリームとマスクが登場しました。テロメア理論を応用し、肌本来の力を呼び覚ますオールインワン化粧品『ピュールビオワン』にラインナップが増えたかたちです。エステサロンと化粧品メーカー両者の見識から生まれた無敵の製品だと自負しています。今後は、業務用スペシャルケア製品も多数発表予定です。2019年は自社ブランド化粧品に本腰を入れますが、美容業界活性化のための活動にもこれまで通り力を入れていきます。
–活性化に必要なものとはどんなことでしょうか。
志田社長 人材の確保と教育だと思います。世間には、エステサロンは勤務時間やノルマなど労働条件が厳しい、高額な契約が不安、といったイメージが今も残っているようです。人材不足の背景にも、そうした負のイメージの影響があると思います。だから、エステティシャンはやりがいのある素晴らしい仕事だということを発信していかないといけない。そこで私たちがすべきことが、志の高いエステティシャンの育成です。美容業界以外の人々から見て、魅力的だと思ってもらえるような人材を増やし、モチベーションを維持できる環境を整えなくてはと感じています。さらに、一般の方々にもエステサロンが安心できる場所だと発信していかなくては。施術にしても、化粧品にしても、お客様が納得し、安心して足を運んでいただける場所になることが必須です。
–具体的に、何か取り組みは行なわれているのでしょうか?
志田社長 現在エスグラでは、中学校や高校での職業説明会として、美容業の魅力を伝え、施術体験なども行なっています。学生のみなさんはそういった体験が初めてだということもあり、興味深く感じてくださっているようです。このように、エスグラを引き継いでくれた現理事や実行委員の皆様が精力的に活動してくれているので、若い人たちのあこがれの職業になっていくとうれしいですね。
–業界内外との接点は、美容業界活性化に不可欠ですね。
志田社長 はい。異業界との壁も、同業者との壁もいらない。壁は成長を妨げるだけですから。そもそも、エステティシャンたるもの、お客様の美しさを願うという志は同じです。ならば手段や考え方はそれぞれ異なっていても、その個性を認め合えるはずですよね。同業であるのにそれぞれ異なる、ということを否定するのではなく、面白がれるはずなのです。
違うからもっと知りたくなるし、がんばりたくなる。エスグラを見ていても毎回そう痛感しています。今年も、そんな気付きの場所や空間作りを提案していきたいですね。