常に美への追求を!
スタッフ間の横のつながりを大切に
お客様に“くつろぎの場”を提供したい
下村 朱美氏
ミス・パリ・グループ
エステティック ミス・パリ/男のエステ ダンディハウス
代表
1982年大阪に「やせる専門店シェイプアップハウス」をオープン、1986年に株式会社ミス・パリを設立。現在、国内約100店舗、海外3店舗のほか、本格的にエステティックを学ぶ専門学校も展開。SPA・エステティック業界初の世界優秀女性起業家賞などを受賞。2014年に全国の経済団体における初の女性会長として一般社団法人東京ニュービジネス協議会の会長に就任し、3期6年を務めた。
優しく温かな「ミス・パリらしさ」を守っていくために
今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延による非常事態宣言の発出にともない、弊社も全店舗を営業自粛に。「いつから営業を再開できるかわからない」という不透明な状況の中で、多くのお客様にご心配をおかけすることとなり、心苦しいばかりでした。そして何よりも、運営する専門学校の卒業式、そして入学式、さらに弊社サロンへの入社式も、中止や縮小開催となってしまったことが本当に辛かったですね。人生の節目を迎えた方々に対し、心を込めてきちんとお祝いすることもできず、そしてせっかく入社した後もすぐに自宅待機となり、非常に不安な中で過ごさせてしまったことが本当に残念で心苦しく感じております。
営業を再開した今も、検温や消毒、シールドの着用はもちろん、これまでは30分から1時間かけて行なっていたカウンセリングも15分以内で行なう、施術中もできる限り会話を控えるなどの対策を取っています。しかし、エステサロンとは元来、お客様もスタッフも人と出会い、ふれ合い、お話しをするといった、いわゆる「密」が好きな人が集まる場所だと思うんですね(笑)。それがカウンセリングも施術中の会話も、そして施術前後のお茶のご提供まで制限されるわけですから、双方にとってストレスが大きいのではないかと感じています。もともと弊社は「やせる専門店 シェイプアップハウス」という名前でスタートし、男性向けサロンも「ダンディハウス」と店名に「ハウス」を入れています。それはサロンをお客様の“第二の家”にしてほしい、家に帰ってきた時のようにホッとくつろいでほしいという想いがあったから。それを実現するためには、そこでお客様を待っているスタッフが優しい気持ちで働ける場でないとなりません。感染症対策の徹底によって、お客様との関係ももちろんですが、これまでは何でも相談し合い、悩みや不安を解決してきたスタッフ同士の距離の近さ、スタッフ同士の横のつながりが希薄にならないようにすることが大切だと感じています。
確かな技術と「人間力」を兼ね備えた人材を育成したい
私は、エステティシャンの大きな役割はお客様の健康や美しさに優しく寄り添うところにあると思っています。ですから入社後は、まず技術を磨き、その後はさまざまな資格の取得にも前向きに挑戦していってほしいですね。弊社は新入社員向けに段階的に技術を磨くことができる約800時間の研修システムを用意しています。お客様は、どの技術に対しても同じ金額を支払っているわけですから、経験の有無による差は我慢していただくにしても、担当によって上手い、下手と感じさせるような技術の差があってはなりません。そのため一人ひとりの技術管理も徹底し、天才的な技術を得られるくらいまで教えていくつもりです。そして同時に人間として魅力的になってほしいとも思っています。ダイヤモンドはカット数が多いほど輝くように、人間もさまざまな教育で視野を広げることでより輝き、高い「人間力」を身に付けることができるはず。そんな想いから今、私どもは専門職大学の開学をめざし、準備に入っています。私自身、美容はとても大切な仕事だと思っていますから、「学問としての美容」を多くの人に学んでいただきたいのです。今、世界ではウェルネスに関するビジネスは500兆円を超えています。そのうち119兆円を占めているのがエイジングケア&ビューティに関するもの。これは、それだけ人々が美容を求めているということであり、実際心身の健康を求めてウェルネスツーリズムに出かける人も急増しています。日本はこうした世界の流れから大きく乗り遅れているのが現状であり、それを打破するためにも多岐にわたるお客様のニーズに応える応用力や理解力、創造力を兼ね備えた人材を育てることが必要だと思っています。医師ではないけれど同レベルの勉強をし、体や心についての知識と技を身に付けるだけでなく、経営やマネジメント、国際文化や語学、芸術など、多くの知識を有する魅力的な人材を専門職大学の4年間で育てていきたいですね。美容や健康を学問にまで昇華させることができれば、お客様がもっと豊かな人生を送るためのお手伝いができると思いますし、それを提供するエステティシャンの価値もより高まると思うのです。
年齢を重ねてもきれいで魅力的に生きるお手伝いを
2021年はこうした専門職大学開学に向けたプロジェクトに取り組むと同時に、これまで以上に外販、インターネットでの販売などに力を注いでいきたいと思っています。今も一部量販店でダンディハウスの化粧品を置いていただいていますが、そうした販路を拡大していくと同時に、自社の通販サイトの充実を図っていくつもりです。そしてサロン運営においてはこれまで通り優しく温かくお客様をお迎えし、信頼関係を築いていきたい。実際、このコロナ禍にあっても「サロンがなくなったら困るから」と契約を継続してくださる方や、一度施術を終えられたのに再度契約してくださる方がたくさんいらっしゃいます。そうした信頼・期待に応えていくためにも、感染症対策をはじめ、一つひとつの業務にしっかり取り組んでいかなければという思いを強くしています。
今、世界の美容は「若さこそ美しい」や「若返りを目指す」といった流れから、「年齢を重ねても、いつまでも20代のような体型・肌でなくても人は美しくいられる」という考え方へと変わっています。たとえ病気にかかってしまっても、その病気と上手に付き合い、きれいに魅力的に生きることだってできるはずです。ですから私たちは見かけの印象でマイナスなお声がけをし、お客様を不安にさせ、悲しませるようなことがあってはならないと思っています。確かに50代、60代になっても20代のようなスタイル・肌を維持することはとても素晴らしいことではありますが、それだけが美容ではありません。今まで「この身長なら○㎏、ウエスト○㎝をめざす」など、目標数字に右往左往してきましたが、年齢によってその基準は変わってきますし、私たちはお客様に自信を持たせ、80代になっても「ステキだな」「きれいだな」と思わせる人でいるためのお手伝いをすることが使命なのではないでしょうか。
経験の有無による差は許されても
技術の質に差があってはならない!
一人ひとりの技術管理・研修を徹底
お客様が安心してサロンに来店できるよう、消毒は何よりも徹底。
あらゆる面からの感染対策を講じながら、ストレスが生じないケアにも力を入れる。
高まるニーズに応える知識と技術を武器に
「美とは何か」の答えを探していきたい
「エステティック ミス・パリ」エントランス。
洗練された内観かつ、ミス・パリのもつ優しさ、温かさが伝わる居心地のよさが演出された空間になっている。