お客様から末永く期待され続けるよう 一生懸命に
株式会社ミス・パリ 「エステティック ミス・パリ」「男のエステ ダンディハウス」
代表取締役 下村 朱美 氏
お客様にとって安心・安全な場所を作ってさしあげたい
———2017年は、どのような年でしたか?
私はお客様を喜ばせたり驚かせたりするのが大好き。それを一生懸命考えている間に、1年はすぐ終わってしまいます。興味の70%はお客様と社員。世界一いいものをお客様にお届けしたい。その思いだけで35年やってきました。やりたいことがたくさんあって、今年が、来年が、と考えている余裕がないんですね。私自身は一人の技術者だと考えておりますので、お客様をきれいにして喜んでいただくことが一番の喜び。ですから、お客様が喜んでくださるサロンをつくることが人生最大のテーマであり、もちろん来年の目標でもあります。
———具体的には、どのようなサロンをめざしているのでしょうか?
お客様が入店した時に愛の風が吹くようなサロンであってほしいと思っています。ミス・パリは、創業当初はシェイプアップハウスというサロン名でした。ダンディハウスにも同様に「ハウス」という名前をつけたのは、お客様の“第二の家”になりたいと思ったからです。お客様がここに来たら安心、ここに来たら安全、という場所を作っておいてさしあげたいと思って。お客様の好みはいろいろあるのでしょうが、そういう場所がいいなと感じる方もおられると思いますから、そんなニーズにお応えしようと思ったんですね。私の思い込みかもしれませんが、そんな思いでサロンを運営しています。
———2018年も同じスタンスで?
はい。これから先もずっと変わりません。エステティックサロンはどこにでもたくさんありますから、ほかと一緒なら、私たちがしなくてもいいんです。どうしてミス・パリ・グループがしなければいけないのかというと、夢があるんですね。世界中にきれいな人を創りたいんです。きれいな人は心も体もきれいでなければなりませんし、そんな人を創る側の人も、心も体もきれいで豊かであってほしいと思っています。ずっと、そういうことを考えてやってきました。そのために最高のプロフェッショナルを育てることも、私どもの重要なミッションの一つです。
———東京NBCの会長に就任されて4年目になりますが、2018年の日本の経済には、どのような展望をお持ちでしょうか?
日本は少子高齢化が進んでおりますので、将来に期待はあまり持てないのではないかとおっしゃる方たちがいす。確かにそうですが、海外に目を向ければいくらでも広がりはあります。日本というだけで「高品質」「信頼できる」という、先輩たちが一生懸命築き上げてくださったいいイメージがあるのですから、そんなに暗くならず、それを裏切らないような商品やサービスを提供すれば、ほかの国が海外進出するよりはずっと楽にできるのではないかと思っております。当社も上海や香港などに出店していますが、その恩恵をつくづく感じています。宝物ですね。外国に店舗を出して、苦労はしていますけれども、まだどうにか会社に余裕がありますので、余裕のあるうちに一生懸命勉強しておかなくてはと。後に続く人たちのために、と言ったら格好がよすぎるかもしれませんが、何かアドバイスができるのではないかと思っております。
ライバルは同業者ではない今こそ業界が手を結ぶべき
———-エステティック業界については、いかがでしょうか?
日本の将来を語るとき皆さん、あまり明るい話はしません。国内向きの思考になっているからなのでしょう。今後ますます訪日外国人が増えて来ます。海外からのお客様にお金を落としてもらうなら、やはりスパや美容業界に落としてほしいと思うんです。そのためには落としてもらえるような業界にしないといけません。バリやハワイは、その環境がつくれましたね。行った人たちはみんなスパに行きたいといいます。日本にいらっしゃった海外の方もそんなふうになってくだされば。その為には、皆で力を合わせたほうがやりやすいのではないかと思っています。
———-業界が一丸となって、ということでしょうか?
どの業種でもそうなんですが、同業者はライバルではありません。私たちの常識や今までのしきたりなど固定観念をポン! と突き抜けて新しい業種ができ、お客様をもっていかれるんです。フィットネスジムが新しい手法を確立して注目されたり、美容整形が外科的手術ではない施術で集客したり。また、海外ではショッピングセンターを巡ると、すべての化粧品会社が売り場の奥に施術ベッドを設置しています。ライバルは同業の外にいます。本当はエステティックやスパの業界が自分たちのできる範囲を決めてルールを作り、自分たちの業界を守るということをしてこなければいけませんでした。それなのに、ライバルだと思い込んで協力してこなかった。それは大きな損失だと思います。私たちはお互いに協力して、自分たちのできる範囲を確保してほかの業界にもっていかれないようにすること。そして、さらにいろいろなことにチャレンジできるように仕事の範囲を広げる努力をすることです。
———業界発展のために取り組んでいらっしゃることはありますか?
私が理事長を務める日本スパ・ウエルネス協会では日本の統一資格の制定を進め、試験センターも作っていますが、それ以外にも、世界の資格が取れるようになりました。国際専門職標準機構(IPSN)に加盟を果たし、海外諸国との資格の相互認証に向けた取り組みをスタートしています。日本スパ・ウエルネス協会の資格をもってIPSNのライセンスを取得でき、オーストラリアやニュージーランド、香港、韓国などの加盟国で、そのライセンスがそのまま通用するのです。日本の若い人たちが世界に飛び出せるための準備をしているところで、2018年にはもっと加盟国を増やしていきます。資格の相互認証がこれからどんどん進んでいくでしょう。海外進出したい会社も増えてくるのではないでしょうか。
技術者が幸せになれる会社をめざして
———御社の2018年の展開としては、どのような計画がありますか?
120人ほどいる上長たちに半年ほどかけて行なった研修が終わって、次のクラスの研修が始まったところです。私の思いを新しい世代にもしっかり伝えて、お客様に飽きられないように、期待し続けていただけるように。社員とは直接話せる時間を大切にしています。サロンに足を運んで、できるだけ若い子に施術してもらいながら、「そこ違う」って。私に入ると、必ずその子は上達するんです。それがうれしくて。本当に、お客様にもうまくなったって言われるんですって。その時間が取れなくても、朝ごはんやお昼ご飯を一緒に食べて、質問でも文句でもなんでも聞きます。テレビ会議もやりますが、やっぱり直接の方がいいですね。そういう時間を大切にしています。私たちの仕事はお客様の心や体を癒して幸せにすること。それには技術者自身が豊かで、幸せでないといけません。先のことを考えて暗くなったり心配したりせずに、いつも朗らかで積極的な会社経営をやっていきたいと考えています。