【特別インタビュー】日本消費者協会 唯根妙子氏
一般社団法人 日本消費者協会 専務理事 唯根 妙子氏
悪しきイメージを払拭し、日本のエステの素晴らしさを世界に
新たな社会貢献の形にも期待
明けましておめでとうございます。
私が専務理事を務めます、一般財団法人日本消費者協会 は、旧通商産業省(現経済産業省)の認可を受け1961 年に発足し、今年設立から57年目を迎えます。発足当初は、消費者の立場にたち商品テストを実施。その結果を本にして広めるという形で消費者保護につながる活動を行なっていました。
現在は、相談窓口を設け、消費者運動を各地域で推進してくださる「消費生活コンサルタント」の育成 などに従事。通算で一万人を超える有資格者を輩出しています。エステティック業界においても、日本エステティック機構の設立に関わるなど、古くから携わらせていただいた関係で、業界の流れも比較的近い場所から見てまいりました。
かつてのエステティック業界は、「無理に高額な契約を結ばされた」「解約したいと言っても応じてもらえない」などさまざまなクレームや相談が多数寄せられる業界でした。しかし、割賦販売法や特定商取引法の改定により、過度な契約や引き留めに関する相談は減少しています。とはいえ、いまだに「エステ=怪しい」という印象を持っている方も少なくありません。
こうした消費者を無視した運営を行なっていたサロンは本当にごく一部。そのごく一部が作った悪しきイメージによって、技術を磨き「人々をきれいにしたい」と真剣に取り組んでいらっしゃるサロンまでもが一括りにされ、低く評価されてしまうのはもったいないことだと思います。
技術や志がしっかりしていても、然るべき法律を遵守していなければ、トラブルになった時に「やっぱりエステは…」と業界全体の評判を下げることになる。それを自覚して法律をしっかりと学び、正しい運営を心がけていただきたい。そして業界全体でもそうした教育を広めていただきたいと思っております。消費者を守るための法律ではありますが、契約前の概要書面でサービス内容や料金などを明らかにし、契 約時に正しい契約書を手渡すなど、法律を守ることは実はサロン保護にもつながるのです。
現在業界は、美容医療やリラクゼーション業など新たな業種の出現により、経営的に厳しい時代といえます。しかし、日本のエステティックの技術やサービス、そしておもてなしの心は世界的にみても非常に質が高く素晴らしいものです。
ただ、エステティック機構のサロン認証制度や、エステティシャン認証制度(試験制度)などがあるものの、サロン従事者自身がその価値に気づいておらず取得者がなかなか増加しません。今後、日本の技術やサービスが世界へと進出した時に、こうした目に見える形での評価が「日本ブランド」の価値を高め、業界の発展へとつながるのではないかと思います。エステティシャンの技術・地位向上の視点からも、資 格制度を利用していただき、ご自身の真価を向上させたうえで、世界へと進出していただきたいと願っています。
超高齢者社会といわれる今、個人的にはエステの市場を 若い方だけでなく、高齢者にも広げて欲しいと感じています。 どんなに年齢を重ねてもお化粧やネイルをすると、女性はパッと明るく華やかな気持ちになるもの。エステティックは 痩身やフェイシャルなど見た目をきれいに美しくするだけでなく、「心の健康」「心のきれい」も提供する。そんな新たな価値の創造によって、消費者に根付いたエステティックへの イメージが大きく変わることを願っています。