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脱毛済みも、「エステサロンはよくわからない」

業界コラム 連載 -

「サロンに若い女性が来ない」「若い女性のニーズがわからない」と悩むオーナーは多いのではないでしょうか。しかし、“若い女性”といってもさまざまであり、ひとくくりにしたままでは彼女たちが求めているものはわかりません。

『ガールズビューティライフ』と題したこのコーナーでは毎回、20~30歳代のシングル女性にインタビューし、収入やお金の使い方、使っている化粧品や美容意識、そしてエステティックサロンの利用動向に迫っていきます。サロンのメニュー開発やマーケティング戦略にぜひお役立てください。

 


 

今回お話をうかがったのは、都内で医療系専門職に従事する鈴木みなとさん(仮名)。
勤務先は比較的大きなクリニックで、雇用形態は資格職の正社員。24歳の女性だ。
平日は9時〜18時までの9時間勤務(うち休憩時間が1時間)。有給が取りづらいことがやや不満だが残業はなく、完全週休2日と、おおむね働きやすい環境にいる。

 

 

 

 

 

 

現在の給料は、額面が28万円、手取りが24万5000円。
「このぐらいなのかなと思います」と話すが、続けて「本音はもう少しほしい」と言い直した。

 

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた業界のひとつが医療業界。鈴木さんのクリニックでもマスクやグローブなどが不足したり、院内が混み合わないように患者の検診の日程をずらしたり、あるいは患者自身が警戒してクリニックに来院しなかったりと、平時にはない苦労にも多く直面したそうだ。
また4月は週に2日は自宅待機となり、減額された給料は家計を直撃。いまだ収束の見通しが立たない不安から、現在は一人暮らしを解消して実家に戻っている。

 

趣味は野球観戦や“飲み”などで、交際費がかかる傾向にある。
毎月余ったお金を数万円ほど貯蓄に回しており、貯金は今のところ30万円ぐらいだという。節約は特に意識していない。
仕事は制服ということもあり、洋服は月に1〜2万円ぐらいで好きなものを買うのみ。化粧品代は1万円ぐらいだという。しかし、ヘアサロンへは2か月に1回訪れ、毎回カット・カラー・トリートメントをしていることからおしゃれに対する関心がうかがえる。

 

 

使っている化粧品を聞いてみた。
スキンケア化粧品は、導入美容液が『無印良品』、化粧水が『RMK』、乳液は『アクアレーベル』。メイクアップ化粧品は『エクセル』や韓国コスメの『ロムアンド』、あるいは『ビーアイドル』など、バラエティショップで購入できるブランドが多いという。

 

 

 

 

 

 

おしゃれに敏感で、化粧品もさまざまなブランドを購入しており、美意識も高そうな鈴木さん。じつは学生時代には全身脱毛も済ませているという。
エステティックサロンへの印象について質問すると、意外にも「よくわからない」と返ってきた。脱毛はしたが、その後の継続利用にはつながっていないようだった。

最後に「エステティックサロンにはいくらまでなら出せるか?」と問うと、「5000円ぐらいだったら……」と答えた。

 


 

ヘアサロンは「そこで何ができるか」「何をしてもらうか」が比較的明確で、だからこそ鈴木さんは躊躇いなくお金を使うことができています。一方のエステティックサロンは、彼女にとって“よくわからない”もの。施術内容も価格面も、具体的に思い描くことができずにいるようです。

 

鈴木さんの年齢では身体の不調をケアしたり、メンテナンスしたりといった意識は生まれにくいのかもしれませんが、筆者の肌感覚として、都会で働く女性は体に悩みを抱えがちです。実際、鈴木さんも冷え性に悩んでいるといいます。
お悩み解決型の単発メニューを作り、今まで以上に積極的に情報発信していくことが、エステティックの裾野を広げるカギとなるでしょう。

 

 

 

取材・文:岡本茉衣