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ピラ骨の西島麻衣子さんに学ぶ、多角経営と挫折から得たもの

業界コラム 連載 -

注目エステティシャンの人生を紹介するプレシャスインタビュー。

今回は、痛みや不調もケアする痩身エステ「トリプルインナースリム」や、ピラティスの骨格調整・トレーニングとエステを融合した「ピラ骨」を提案する西島麻衣子さんにインタビューしました。西島さんはまだ30代前半。サロン2店舗のほかに、スクール運営、ダイエット補助食品の開発・販売を手がけるなど、多方面にわたり活躍するバイタリティ溢れる方です。そんな西島さんの意外な過去から現在までの経緯と仕事の秘訣をうかがいました。

 

西島麻衣子さん

 

 

–昔は“ギャル”だったとお聞きしましたが本当ですか?

 

西島麻衣子さん(以下敬称省略) そこからですか(笑)。はい、実はギャルでした。小学校のころから人と同じというのが嫌で、奇抜な恰好をしていました。

 

ギャルのピークは、17・18才位。それこそガングロとかマンバギャルで、遊びまくっていました。当時、美容の専門学校に入ったのですが、はじめから「美容を学びたい!」という強い気持ちがあったわけでもなく、遊んだ次の日は学校を休んで・・・と、結局学校も1年で辞めてしまったんです。学校を辞めて実家に戻って、一般企業に就職したりもしましたが、夜遊び、特にクラブは大好きだったので、ヴェルファーレ(大型ディスコ)のスタッフとして働いていたこともあったんですよ。

 

–意外な経歴をお持ちなんですね!そこから、なぜエステティックの道に戻ったのですか?

 

西島 ヴェルファーレが閉館するということになり「この先どうしよう」と考えた時に「もう一度エステティックがやりたい」と思いました。もともと、人の体を癒すことが好きだったんですね。とくにオイルを使用したマッサージが好きで。そこから、大手エステサロンに就職して、業界に戻ってきました。

 

就職したサロンはオープンスペースにいくつもベッドが並んでいて、施術を受けたり、セルフマッサージをみんなで行なったりするサロンだったんです。そこで学んだことも多かったのですが、私が思い描いていたエステティックサロンは「個室でお客様一人ひとりと向き合う」というものだったので、「私ならこんなサロンにするのに」と、価格帯からメニュー、ルームまで自分が作りたいサロンが具体化されていきました。

 

 

 

–かなり早い段階で、ご自身のサロンを持つイメージができあがったんですね。

 

西島 そのことを友人に話したところ、「レンタルサロンというのがあるらしいよ」と教えてくれて。調べてみると、新宿三丁目の駅前に1日3,500円という激安なサロンが見つかり、そこで施術をはじめました。

 

まずは火曜だけ施術を行なっていましたが、ありがたいことにお客様からのご要望が多く、週1日が週3日になり・・・と営業日がどんどん増えて行き、そうなると「ワンルームを借りても替わらないのでは」と気づき、3ヶ月後にはワンルームの本格的にサロンをスタートさせました。

 

 

 

本格的なサロン経営で生まれたのはスタッフ教育の難しさ


 

西島 それからは、60~90分のコースで1日7人、といった形で、休む間もなく予約を入れてとにかく働きました。でも、子宮頸ガンが見つかり入院を余儀なくされたり、価格に悩んだり、「このお客様こんなにサイズダウンしたよ」「最近落ちにくくなったけれどなんでだろうね」など、一緒に働くスタッフがいれば、悩みや喜びを分かち合うことができるなと、急に一人で施術することに寂しさを感じてしまって。

 

–スタッフを増やしていったんですね。

 

西島 求人をかけると同時に、3ベッドを置くことができる場所へ移転しました。スタッフも4名集まり、広いサロンでスタート!となったんですが、ダメでしたね。

 

–ええっ、ダメとはどういうことでしょう。

 

 

西島 私が未熟すぎました。ついつい言い過ぎてしまい、怒られたスタッフはシュンとして、次々とやめていきました。そんな時、お客様が「麻衣子さんのサロンで働きたい!」と入社してくださったのですが、そこでも失敗しました。とても優秀な方だったこともあり、自分と同じ量の仕事を任せてしまったのです。彼女が二度も胃腸炎になってしまったのをみて、「これではいけない」と、スタッフの働き方や・私の指導方法の見直しなどの努力を重ねました。

 

 

 

スタッフを信頼できるかどうかが多角経営のはじめの一歩


 

西島 そしてまたスタッフを増やしてみようと思い、募集をかけると一気に5名が集まったので、ベットが5台おける店舗へと拡大移転しました。すると、核となる存在のスタッフが育っていき、思い切って彼女を店長にしたらお店が回るようになったので前々から思っていたスクールをやりたい!という夢を叶えるため、事務所とスクール立ち上げに乗り出しました。私がお店にいることが少なくなっていった、そんなときです。

 

「お店の忘年会は、会社に対する愚痴ばっかりでした」と、あるスタッフが教えてくれました。そこで、お店に戻り経営を見直したところ、タイムカードの不正打刻や、信頼していた店長が愚痴の発信源だったことも発覚しました。結局、店長にはお店を辞めてもらい、改めてスタートを切ることになったんですよね。

 

–信頼していた存在が変わってしまっていたんですね。いま当時を振り返ると、どんな風にお感じになりますか?

 

西島 その頃の私は、感覚がすべて。スタッフとの人間関係に悩みすぎて、お客様の前で泣いてしまったり、技術指導も「ここをグイッッとしてキュッと」とニュアンスでしか伝えられず、接客も同様エステティシャンとしてどうあるべきかなど、マインドのことばかりで具体的な指導がまったくできていませんでした。そんな自分から脱したくて、経営やコーチング、自己啓発などスタッフ教育に必要な知識を学びはじめました。

 

 

西島 感覚人間を脱したいま、やっぱりスタッフと上手くやっていくには、信頼関係が築けているかどうかが最重要と感じます。スタッフとオーナーの間にどれだけの繋がりがあるか。当時、私にお店の事を教えてくれたスタッフが、今では私の右腕となってくれています。店長の彼女とリレーションをとって、2店舗を経営しています。

 

 

 

ピラ骨の誕生は、お客様のライフスタイルの変化を施術で感じたから


 

–スクールについてお聞きします。西島先生は、ピラティスのインストラクター資格もお持ちと聞きましたが、スクールはそれがきっかけで始めたのですか?

 

西島 インストラクター資格は約3年前に取得しました。お客様でキャビテーションの効きが急に悪くなる方がいて、「何か生活で変えたことはありますか?」と聞いてみると「ママチャリをマウンテンバイクに変えました」「ジムでトレーニングをはじめました」など、みなさんハードな運動を取り入れたということがわかりました。

 

女性は、表層の筋肉を鍛えてしまうとサイズアップしてしまうんですね。でも重要なのはインナーマッスル。そこでピラティスのインストラクター資格を取得しました。以前は「ハードなトレーニングではなく歩いて」「ストレッチをしっかりして」程度のアドバイスしかできませんでしたが、お客様と施術で一緒にピラティスの動きを体験して、体が変わることを実感していただきたいと、また、その中の一つの動きだけでも習慣化してもらえればと思っています。そして「ピラ骨」が生まれ、美と健康・ボディメイクのプロフェッショナルを増やしたい、と思ってスクールを始めました

 

 

 

 

–生徒の募集はどのように行なっているんでしょう。

 

西島 ブログやFacebookで募集をかけたり、お客様でも習いたいという方がいるのでサロンでもアナウンスするくらい。これまでに全国から約150人の方に受講いただきました。

 

–特別なことはされていないというと、口コミ効果もありそうですね。今後はそのような展開を予定しているんでしょうか。

 

西島 生徒さんのなかから認定講師になりたいという方々がでてきたので、ディプロマを出している協会理事やスクール、認定講師をお持ちの方などにリサーチをしました。成功している企業は、講師へのバック率が良かったり、スキルアップの為の無料講習会を開くなど、講師へのメリットを高く設定していることに気付きました。これからは、認定講師を増やして、国内はもちろん、海外でも「トリプルインナースリム」「ピラ骨」が習得できるよう広げて行く予定です

 

 

 

 

食品開発は趣味が仕事になった例。とにかくチャレンジを続けてきました!


 

–ダイエット補助目的のレトルト食品も開発・販売していらっしゃいますが、それはどのようにして誕生、製品化したのでしょうか。

 

西島 私はお料理が好きで、低糖質ゼリーやおからクッキーなどを手作りしては、スタッフに試食してもらっていました。スタッフは率直辛口な意見を言ってくれるので、どんどん改良を重ねることができ、「本格的に作ってみたい」と思うようになりました。製造先を探してみたら、同じような製品を開発中だった名古屋の工場が、すぐにサンプルを送ってくれました。そこから、食材や味をカスタマイズしていき、約2年前キヌア入りのミネストローネ『さぷりめし』が誕生しました。

 

さぷりめしのLINE@はffg5783p

 

 

西島 のんびり販売していたのですが、今年スクールを協会化したこともあるので、本格的食品販売に切り替えます。手始めに、スポーツクラブの「ティップネス」をジャックして、イベント的に販売できることになりました。今、6月にリリースを予定している新製品のゼリーも開発中で、スープのバリエーションも展開予定です。

 

どんどん新しいことにチャレンジされていますね!サロン経営以外にビジネスを広げていくのは簡単ではないと思います。多角経営についてアドバイスいただけますか。

 

西島 方法は単純なんですよ。たとえば今回のイベントコラボに関しても、とにかく片っ端から電話をかけて交渉しました。もちろん「結構です」と電話を切られることの方が多いです。でも挫けずに営業を続けたところ、ティップネスさんに興味を持っていただいたという訳です。

 

 

自分で「できない」とブロックをかけず、とにかく行動してみることが重要だと思います。

 

私にはまだまだ夢があって、協会ホームページをリニューアルしており、中国語のサイトも作っています。今後は、国内のみならず中国からも資格取得に来ていただき、アジア全体に広げて行くのが目標です。

 

夢を持っていらっしゃる方がいるなら、一緒に頑張りましょう!行動すれば夢はかなうと信じています。

 

 

 

「とにかく前向きで、吸収力が高い方」と思っていた西島さんでしたが、沢山の挫折と学びがあって現在の多角経営があることを、インタビューを通して知りました。サロンをオープンする際の資金も、サロンワークの他に、果物や野菜の移動販売をするなどダブルワークをしながら資金を貯めたそうです。お金がないから、コネがないから・・・ではなく「お金もチャンスも創り出す」バイタリティと、ギャル時代に培った「物怖じしない」積極性は、ぜひ見習いたい部分だと思いました!

 

 

西島 麻衣子

 

シークレットハンド オーナー、rich mind協会代表(LINE@ maf7826n)
25才でエステティックサロンを開業。心と経営面の豊かさを追求した経営・マネジメントにて、6年で高い口コミ率を誇るエステティックサロンを新宿・代官山にて運営。現在20名の従業員から愛される会社・組織を作り上げると同時に、独自の技術を教えるスクールには国内外から学びに訪れており、技術導入実績は100店舗以上。現在、自社オリジナル製品『さぷりめし』の開発も手がける。

 

 

 

 

取材 永山泰子(美容経済新聞社)/写真 柴田彩瑛(エステティック通信編集部)
構成 菅井美知子