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モデルが駆け込むゴッドハンド ZARAHA Beauty 仲松知美さん

業界コラム 連載 -

大御所専用のプレシャスインタビュー。第2回目は、テレビや雑誌でも有名な、くびれ作りのゴッドハンド、仲松知美さんが登場!ゴッドハンドと言われる手技の秘密をうかがいました。

 

仲松知美さん

 

–仲松さんの施術は、独自で開発した技術、ということですが、どのようにして編みだしているのでしょうか。


仲松知美さん(以下敬称省略) 自分の体と向き合ってきた経験から、悩みを解決するためにその方法を模索してきた、という感じですね。

 

私はこれまでに、何度か体を壊していまして・・・そのたびに「どうしてこの痛みが起きているんだろう」と体と向き合う機会を得てきました。なぜかというと、MRIやCTを取っても原因は見つからないことが多くて。痛みの原因が不思議すぎて、体を動かしながら「こう動かすとここに痛みが出るな」というように探ってみると、痛みと故障している部分が違うこともあるんですよね。それと同時に、「なるほど、筋肉と筋肉はこう連動しているのか」と本を見ながら学ぶようになり、アプローチ方法を見つけていった、という感じですね。

 

–ご自分の体を動かしながら解剖学的なことを学ばれたんですね。そこからケア技術になっていったのでしょうか。

 

仲松 体を壊す→自分の体で試す→スタッフで試す→お客様に施術する→悩みが解決する。この繰り返しで新しいアプローチ方法が誕生してきました。

体を壊すことは、エステティシャンとして次のステップへ向かう試練を与えられているように感じている部分もあるくらいです。

 

 

仲松 つねに勉強・研究で、もうどこまでやったらよいのかわからないですね。私は感覚人間なので、細かい圧の違いなどを100%人に教えることは難しいのですが、いつか確立したいなと思います。

 

 

 

OL時代に「夕方の浮腫み」を体験!それが技術開発のきっかけに



–それがゴッドハンドと呼ばれる由縁なのですね。そのような技術研究は、いつ始められたんでしょうか。


仲松 具体的に結びついた経験は、例えば前職のスパを退職して、一般企業の事務職をやっていた頃ですね。私のキャリアのスタートは大手スパなんですが、がんばりすぎて体調を崩してしまったので、次は一番苦手な事をやってみよう、と思って。思った通りまったく向いていませんでしたし、働く環境がまったく違っていたので予期せぬ不調が現れました。それまで私は、足が浮腫むとか足先が冷える・肩が凝るといった、いわゆる多くの女性の悩みを感じたことがなかったんです。事務職について初めて「夕方の浮腫みってこれかー」と実感できました。この経験が浮腫みケア技術の誕生に結び付いています。

 

 

 

–なるほど、今までと違った経験が施術に結びついていますね。仲松さんは、モデルや芸能人の方にもご指名が多いと思いますが、こちらは芸能関係者にお知り合いがいたなど、特別な理由がおありだったのでしょうか。

 

仲松 特にそういったことはないですよ。なんでしょう、気づいたらみなさんいらしていただいていた、という感じです。しいて言えば、ヘアメイクさんもご来店いただいているので「メイクさんから聞いて」と、モデルさんが来店し、そこからの広がりが多いですかね。

 

 

 

集客はクチコミが主。ゴッドハンドも業界内の噂で広まった



仲松 私は、くびれと顔のサイズダウンが得意なので、撮影前日に「どうしてもこの日じゃないとダメなの!」と頼み込まれ、通常時間はすでに予約で埋まっているため、営業時間外に対応することもたびたびあります。



最近だと、いわゆる筋肉系男子のお客様から「大会前なので、筋肉と皮膚の間の浮腫みを取りたい」というオーダーをいただきました。結果にご満足いただき、次は筋肉系の彼女さんがいらっしゃって、またその友達がご来店、という風に増えています(笑)。

 

 

–クチコミでゴッドハンドが広まっていったんですね。モデルさんのブログなんかでも、仲松さんのお名前をよく拝見します。

 

 

仲松 そうみたいですね「〇〇ちゃんがブログで書いていたから~」と、別のモデルさんがいらっしゃることもよくあります。またその方がSNSに書いて・・・ということが続いていますね。

 

 

 

サロンは都度払いが基本。正しい位置に押していく施術が人気


 

–昨年夏にご自身のサロン「ZARAHA Beauty」をオープンされたわけですが、どんなサロンですか?

 

ZARAHA Beauty 恵比寿本店 東京都渋谷区恵比寿南1丁目2−11 フォーシーズン恵比寿ビル3階 Instagram(@zarahabeauty)



仲松 ルーム数は3ルームで、スタッフは私のほかに3人。お部屋はペアにも対応できるよう、折り畳み施術ベッドを用意しています。ベッドが2台入れられるよう、広めの作りにしました。コラーゲンマシンなどの機器も導入しています。男性のみの来店も受け付けていまして、全体の1割くらい、お客様がいらっしゃいます。コースは組まずに都度払いにしています。なかにはコースにして回数割引を入れて欲しいという声もありますが、コースを組むと手続きに時間がかかりますし、その時間を施術に使いたいこともあり、都度払いのみとさせていただいてます。長期のローンは、お客様にもストレスがかかりますからね。

 

 

 

–どんな施術が人気でしょうか。


仲松 120分のコースを受けられる方が多いですね。ゆっくり施術しないと筋繊維を痛めてしまうので、それ位の時間は必要です。施術の特長としては、揺らしたりして緊張を取り、ストレッチしながら呼吸していただきます。それで、正しい位置に押し込んでいくので、「痛みはあるものの、もう二度と受けたくないとは思わない」というお声が多いですね。でも、「また来たい」といいつつ「修行だと思って通っている」というお客様もいらっしゃいます(笑)。

 

 

–オールハンドの施術がメイン?

 

仲松 私はハンドで充分結果が出せるのでほぼオールハンドですが、サロンでは美容機器も使います。ですが、機器をかけた後は必ずハンド技術を入れますね。私の施術はほかのスタッフよりも高いので「(私の施術は)月に1度でいいよ」とお伝えしていて、ほかのスタッフがお客様を施術することも多々ありますね。でも、次の来店までに「できるだけ体をさすってください」という宿題を出しています。これは、自分の体と向き合ってくださいね、という意味があるんです。


–なるほど。その宿題ならどなたでもできそうですね!

 

 

 

 

エステティシャンは自身のケアも大切。手と肩を毎日ケアしています


 

–仲松さんは、ご自身のケアをどのようにしていますか?


仲松 私は、全体重を乗せてグワッ!と押したりして施術を行なうので、時々お客様から「仲松さんの方に負担掛かっていない?大丈夫?」とご心配いただくこともあります。かなりお疲れのお客様を施術した後などは、お客様の“気”を受けるのか、吐き気がしたり、目が開けていられないほど疲れてしまうこともあります。

 

 

–それ、よく聞きます。そんな時は、お客様はとてもキラッキラしてお帰りになるようですね。


仲松 そうなんですよね。とてもうれしいことなんですけど。とても疲れてしまった時は、しばらく目を閉じて休憩し、帰宅した後は、毎日お風呂に浸かって手と肩をほぐすようにしています。また、塩でマッサージするのもおすすめ。血行がよくなりポカポカしていいですよ。エステティシャンは、自分のケアも大切ですよね。私の場合、休みの日には外部とまったく接触せず、家でのんびりするのが一番リフレッシュできます。

 


–最後に、エステティシャンに向けて一言お願いします。


仲松 エステティシャンは、自分次第で面白くも苦しくもなる仕事だと思います。

エステティシャンは、「ありがとう」と言われる素敵なお仕事。私も、「痩せた」とか「写真を撮って見せたくなるくらいいい便が出たわ~」とか、たくさんのうれしいお言葉をいただきます。また、これだけ多くの方のお体に触れていると、指先やお腹の固さなどから大きな病気につながりかねない異常を感じることもあると思います。それが原因で大きな病気に気が付いた、なんていうお客様もいるくらい。

 

仕事と割り切って適当にやっていたら、お客様も適当な人しか来ないけれど、気持ちが伝わるようになると結果も出るようになり、楽しくなります。もし「つらいな」と思っているなら、楽しくなる前に辞めてしまうのはもったいないですよ。技術は習うことができるけど、この気持ちの部分は習うのではなく、獲得していくものだと思います。

 

 

エステティシャンには、たくさんの人を救って欲しいなと思います。
体の悩みを持っていたり、苦しんでいる人を救って欲しい。エステティシャンは、それができる、本当にいいお仕事ですから。お互いがんばって行きましょう!

 

 

 

インタビューにおうかがいしたのは、サロン閉店に近い遅い時間、しかも「お客様の合間の時間なら」と対応していただきました。仲松さんはとても明るく、お話ししてみるとサバサバしていて、自然と悩みを話してしまうような、優しくも頼れる姉御肌な印象を受けました。


「時間で区切らず、とにかくそのお客様の体がほぐれるまで施術をする1日スペシャルコースというのをやってみたい」とおっしゃっていて、お客様の体と真摯に向き合う姿勢に尊敬の念を抱きました。

 

ゴッドハンドと呼ばれる素晴らしい施術は、この姿勢と心が結びついているからこそ、唯一無二なんだろうなぁと確信しました。元セラピストの私は、とても刺激を受けました!

 

 

仲松知美

ZARAHA Beauty 恵比寿店 CTO 最高技術責任者
美容師見習い、歌手などセラピスト以前は多彩な経歴を持つ。歌手修行中にアルバイトとして入った大手スパで「ありがとう」と言われる喜びに目覚めセラピストに転身。その後、隠れ家サロン・スパでの技術指導などを経て、2018年9月、東京恵比寿に『ZARAHA Beauty』をオープン。現在、TVや雑誌などで“モデルが駆け込むゴッドハンドのサロン”として注目を集める。

 


取材 永山泰子(美容経済新聞社)
写真 柴田彩瑛(エステティック通信編集部)
構成 ESTHETIC WIRED WEB編集部