過度なヤセ表現はイラストでもOUT!景表法ってムズかしい?!
実際に省庁などから注意を受けた広告事例を専門家による解説とともに紹介する本誌の好評連載「広告NG事例ファイル」。今回は、過度な「これだけで痩せた」表現について、実例をあげて説明します。
【内容】
平成30年9月4日
消費者庁は、株式会社キリン堂に対し、同社が供給する『グラリスゴールド』と称する食品に係る表示について、景品表示法に違反する行為が認められたことから、同法第7条第1項の規定に基づき、措置命令を行ないました。
【違反表示】
店頭表示物において、太った人物が腹部をつかんでいるイラスト、細身の人物がサイズの大きなズボンをつかんでいるイラストとともに、「食べるの大好き&運動嫌い」、「でも燃えた!!」、「脂肪合成酵素を徹底抑制+さらに還元型CoQ10で燃焼力UP」と記載することにより、あたかも、本件製品を摂取するだけで、特段の運動や食事制限をすることなく、体脂肪の分解、燃焼及び合成抑制による、外見上体の変化を認識するまでの痩身効果を得られるかのように示す表示。
【実際】
前記の表示について、株式会社キリン堂に対し、当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社から提出された資料は当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものとは認められないものであった。
【命令の概要】
対象製品の内容について、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。今後、表示の裏付けとなる合理的な根拠をあらかじめ有することなく、同様の表示を行なわないこと。
【法律家による解説】
合理的な根拠なく、その製品を摂取するだけで痩せることを謳う製品は多く、以前から優良誤認表示としてさまざまな製品に措置命令が出されてきました。昨年には、機能性表示食品に対して、同様の措置命令が出されています。
この措置命令では、違反表示の内容として、「外見上、体の変化を認識できるまでの腹部の痩身効果が得られるかのように示す表示」という、これまでになかった表現が用いられたため、一部では優良誤認表示の判断基準が変更されたのではないかと話題になりました。しかし、措置命令においては、違反表示の内容によって表現が微妙に異なっています。
今回の措置命令でも、機能性表示食品に対する措置命令と同様の表現が用いられていますが、結局のところ、それは違反表示の内容を具体的に説明したものに過ぎないと考えるべきでしょう。
アドバイスをいただいた方
弁護士 成 眞海氏
弁護士法人丸の内ソレイユ法律事務所
TEL:03-5224-3801