クリニカルエステ花蔵　三谷 愛さん

株式会社エルピス／株式会社アフロディテ　代表取締役社長
家業である「クリニカルエステ花蔵」に入社後、2012年より現職。埼玉県を中心に10店舗のサロンを経営。また2025年5月からは新たに北陸を拠点とする「花蔵Coeur」を開業、精力的な活動を続けている。

TOPIC 01　経営再建

提案はお客様に「本当の喜び」を届けるもの
その意識改革が自信と売上の回復につながる

2025年、もっとも大きなトピックスはやはり5月の（株）アフロディテの立ち上げと「花蔵Coeur」のオープンでしょうか。これは前年末に北陸を拠点とする「クールエステティック」さんからサロン経営再建の相談を受けたことから始まったもの。半年後にはリニューアルオープンを迎えたわけですから……今振り返っても、本当に大きな挑戦でもありましたね。サロンの経営再建にあたって私が一番重要視したのは「提案力の向上」です。スタッフは皆、真面目で接客も素晴らしいけれど「お客様に気持ちよく帰っていただく」ことに注力するあまり、本当のきれいを提供するために必要な「自信を持ったご提案」がなかなかできていない状態だったのです。経営に関わるようになってから、花蔵の「強み」でもあるフェイシャルメニューの充実や労働環境の整備など、取り組んだことは多数あります。そのなかでも特に私が伝えているのは「自信を持ってお客様に対峙し、ご提案し、結果と向き合う」こと。そしてカウンセリングから提案につなげる方法なども徹底的に学んでもらいました。その結果、早くも8月には全店で目標を達成、この“変化”にスタッフの中でもやりがいと今後への期待が大きくなっているようです。 

TOPIC 02　研修の充実

テキストの完成で研修がさらに充実
新メニューの技術習得・意欲もより向上

　また2025年は、社内研修をより充実させた一年でもありました。ハラスメント研修やコンプライアンス研修、AEDなどを使った緊急救急研修など、非常によい学びの機会を設けることができたと思っています。また、一昨年から編纂を続けていた、「花蔵」のノウハウをまとめたテキストも完成。それによって研修内容もより充実させることができています。実際、北陸のサロンを立ち上げる際、このテキストのおかげで研修の内容も理解度も大幅に高めることができたと思っています。今年は埼玉・北陸のサロンともに、フォトフェイシャルメニューにも対応できる脱毛機器を新たに導入。シミケア機器『オセロ』と組み合わせ、『オセロ』×フォトフェイシャル、もしくはフェイシャル脱毛という新たなメニューをご提案していきます。顔の産毛を除去することで、肌色が明るく変わることはよく知られていますが、多くの方はきっとシェイバーなどで自己処理されていると思います。でもそのときの摩擦が肌質の低下やシミの大きな要因となる―この点を多くの方にお伝えし、より高い「結果出し」につなげていきたいと考えています。今、埼玉はもちろん、新たにフェイシャルメニューに挑戦する北陸のスタッフも前向きに技術習得に燃えていますので、今後の成長・展開を本当に楽しみにしています。

TOPIC 03　職域を守る

エステティックが培ってきた「職域」を守るために
より真剣に、危機感を持った働きかけを！

　また2026年は、JHCI（一般社団法人全国ヘルスケアサービス産業協会）での活動も、より具体的に、明確なものになっていくと思います。特に今、真剣に考えるべきときに来ているのが、エステティックの「職域を守る」ということ。近年、エステサロンの新たなメニューにと開発された製品や施術であっても、国家資格やさまざまな法律のもと、他業種に譲らざるを得ないという事例が続いています。しかも今、その流れはさらに加速し、フェイシャルケアを含む「首から上のケア」はすべて「美容師法に抵触するのではないか」という話まで出てきているのが現状です。確かにエステティシャンは国家資格もなく、統一された技術水準を保証するものはないかもしれません。でも、肌のこと、スキンケアに関する知識や技術は、私たちエステティック業界が培ってきたもの。その「職域」を守り、これからも生業として存続していくためにも、もっと業界活動に取り組んでいかなくては……と思っています。一方で、こうした活動は各団体のトップだけでなく、実際に現場で働く方々の声やご協力も必要だと感じています。ぜひ多くの方に、今、エステティック業界が置かれている状況を知っていただき、これまで磨いてきた技術や知識、そして業界自体を守っていくために何をすべきなのか、一緒に考えていただければと思っています。