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マインドを変えれば行動が変わる“ご機嫌”に働ける環境づくりを

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たかの友梨ビューティクリニック

たかの 友梨

 

 

1972年、本場のエステティックを学ぶために渡仏し、帰国後の1978年に「たかの友梨ビューティクリニック」を設立。以来、業界をリードする美容家として多岐にわたり活躍。長年行なってきたボランティア活動の取り組みが評価され、2019年には紺綬褒章を受賞。

 

 

来店いただいたお客様を
より大事にしていきたい

 

コロナ禍からの回復期を本格的に迎えた2023年は、既存のお客様はもちろん、新規のお客様にも多数ご来店いただけた一年でした。以前は入会までの敷居が高く、継続して通っていただけないこともあったのですが、貴重な時間を使って来店してくださったお客様に「もう一度来たい」と思っていただけるよう、従来の入会システムと価格を一新。その変化が、新規のお客様に支持された
大きな要因になったように感じます。「来店3回の法則」という言葉がありますが、来店して“一度目の感動”、“二度目の感動”、そして“三度目の感動”を更新できたら、そのお客様とは一生のお付き合いになります。若いときには体型を気にして痩身のコースを選ばれていたお客様も、年齢を重ねるうちに、フェイシャル・ヘアケア・フェムケア……と、悩みはどんどん変わっていくはずです。そのときに「困ったことがあったら“たかの”に行けば大丈夫」と力強く思っていただけるように、私たちも日々、努力を重ねて、レベルアップしていく必要性を痛感しております。

 

 

労働力不足だからこそ
人材を最大限に活かす

 

 一方で、労働人口の減少に伴う2025年問題は、エステティック業界においても例外ではなく、確実に訪れる人手不足に備え、今から滞りなくエステサロンを経営し続けていける方法を見つけておく必要があります。現実的に労働力を増やすことが難しいのであれば、今の人材を最大限に活かす方法を考えるべき。
その方法の一例が、経験の少ない技術者でもお客様に施術ができるメニューを増やすこと。実は弊社では、「チケットの販売状況は好調なのに実質の売上が上がらない」という状況が続き、その原因を調査していました。その結果、人によって労働時間に偏りがあり、実質2時間ほどしか施術に入れていない社員もいることが判明。技術の教育に力を入れ、時間をかけていたことがかえって仇になり、入社3年目以下の社員が担当できるメニューが圧倒的に少なく、時間を持て余していたのです。そこで、かつては“新人の登竜門”といわれていた「ミラクルM」というボディのもみ出しの技術をリニューアル。商材も刷新し、ハンドによる強いもみ出しにキャビテーションを加えた「ウルトラM」として新たに売り出したところ、見事、大ヒット! 新人でもできる技術をつくった結果、実質の労働時間を上げることにもつながりました。ほかにも、子育て中や妊娠しているスタッフを前半の時間に、フルタイム勤務の社員を後半に配置するなど、予約の受け入れ体制を整える工夫も必要でしょう。

 また、技術者のレベルをキープするためのマインドづくりも、“人材を最大限に活かす”ことにつながります。近年、美容クリニックとサロンの垣根がなくなりつつありますが、それでもサロンに通う人が減らないのは“大切に接してくれて、かつきれいになれる”ということをお客様自身が感じているからでしょう。お客様を大切にできるのは、スタッフ自身が“大切にされている”と実感できてこそ。経営者が“大切に思う”気持ちをスタッフに伝えること、それが技術者のマインドづくりです。

 弊社では、メンタルトレーナーが講師となって、「ご機嫌講習」を行なっています。これは、上司も部下も、スタッフみんながお互いを理解し、気持ちよく働いていけるようになるためのマインドづくりの講習。人は、気持ちが変われば行動が変わり、行動が変わればすべてが変わります。「後輩に話が通じない」と悩む上司も、「先輩とどう接していいかわからない」と戸惑う新人も、すべてのスタッフが居心地よく働ける環境づくりを心がけています。

 

精神的にも経済的にも
自立した女性を育成

 

 そして“人材を最大限に活かす”ために、何よりも先に教えるべきなのは“女性としての生き方”についてだと私は考えています。結婚や出産だけがゴールではなく、自分の技術で人に喜んでいただくことが自分の喜びになり、社会の役に立つことでもっと仕事をおもしろく感じられる……。弊社で働くスタッフには、そんな精神的にも経済的にも自立した女性を目指してもらいたいですね。その想いを会社から具体的に伝える手段として、昨年7月には業界最高レベルの賃上げを行ないました。入社から30年以上勤務しているスタッフもいますし、産休から戻ってくるスタッフも多いので、そうしたマインドを周りへ引き継いでいってくれることを期待しています。

 もちろん、弊社スタッフに限らず、どこで働くエステティシャンも同じように自立した女性になってもらうことが私の願い。そのために、サロン経営者は、エステティシャンが自分の仕事に誇りを持てるよう、常にサロンをはやらせ、発展させる努力を怠ってはいけない、そこに尽きると思います。

 

世界の伝統技術や厳選した先端メニューを取り入れたエステサロンを全国に展開。“オルタナティブ・メディスン”としてのサロンを目指し、圧倒的な技術と接客の質を誇る“美のセラピスト”を育成。女性が自立し、ますます活躍できる環境や制度の整備に尽力している。