美容業界の仕組みを再建するプラットフォームで未来を切り拓く
DADA integrate株式会社
代表取締役・柿坂 正樹
健康器具、化粧品など、美容と健康に関連する製品の販売に携わった後、独学でエステティックサロン経営に乗り出し、奈良県を中心に5店舗を構えるまでになる。また、エステティックサロン日本一を決める大会『エステティックグランプリ』を主催する法人では設立当初から理事を務め、業界の発展にも寄与している。
ついに“試作品”から脱却。準備期間を経て本格始動
サロンサービスの根幹にあるのは“ふれあいによる癒やし”です。どれほどオンライン化が進んでも、そこはデジタルツールで置き換えることはできません。とはいえ、対面でのサービスにデジタルツールを加えることで、サロン様とお客様のコミュニケーションはもっと活性化できるはず。そのために開発したのが『DADA』です。使い方は簡単で、スマートフォンにインストールした後、DADA加盟店ごとに割り当てられているQRコードもしくはスタッフの個人用QRコードを読み取り、個人情報を登録するだけ。するとサロン様とお客様の情報が紐付けられ、アプリケーションを開けばどこにいても、弊社と契約しているサロンの取り扱い製品を購入することが可能になります。『DADA』から直接お客様の手もとに製品をお届けできる本システムは、サロンを在庫管理から解放する画期的なプラットフォームとして、展示会に出展するたびに反響をいただいていました。
ですが、これまでの『DADA』はいわば“試作品”。展示会や講演会をきっかけに契約いただいたサロン様やメーカー様に実際に使ってもらいながら改善を続けていたというのが実情でした。デザインも機能性も何もかもを根本的に作り替え、丸1年がかりでアプリ内のデータベースを整え、ようやく“完成版”としてリリースできたのが昨年10月のことです。試作品の準備期間を含めると、リリースまで5年もかかっています。
今は新型コロナウイルスの感染拡大により、期せずして『DADA』の需要が後押しされています。外出自粛が呼びかけられ、エステティック業界においてオンライン化が進んだからです。昨年も状況は変わらず、ECサイトを開設してホームケア製品を販売したり、オンラインカウンセリングを導入したりと、来店できないお客様をフォローするための施策を打つサロンが増えてきているなかで、私たちのアプリへの注目もひときわ高まっていることを感じました。試作品の時点で500以上の店舗に加盟していただいていましたが、今年は加盟店をさらに増やしていくフェーズに移ります。
カギは送客とポイント制度。アプリから業界の活性化を
人々の行動に制限がかからなくなったとしても、すでに経済は計り知れないダメージを受けています。当面人々は財布の紐を締め、消費が冷え込むことでしょう。そのうえ人口も減少傾向。そんなときだからこそ、私は“送客”という考え方をもって業界の経済を立て直したいという想いでいます。自分のところでお客様を囲い込んで終わりにするのではなく、お客様がお客様を紹介してくださるよう、情報交換の場としても活用できるコミュニティの形成を目指すのです。
そして、活性化のもう一つのカギが「ポイント制度」です。サロン専売品はその性質上、値引きが難しいもの。そもそも一度値引きをしてしまうと、二度ともとの価格では売れなくなってしまいます。そこで『DADA』では値引きをしない代わりに、ポイントを付与します。ポイントもそのままでは貯める人もいるかもしれませんが、使用期限を設ければ「失効する前に全額使おう」という心理になります。
今年は、昨年の勢いに乗って『DADA』の普及を進めていきます。利用者を増やしながらサロン様─お客様間のコミュニケーションの活性化を促し、ひいては消費と利益の還元も促進していけたらと思っています。最終的には数百万人が利用する巨大な“デジタル経済圏”へとこのアプリを成長させ、業界全体の活性化につなげたいですね。
ご存じの通り、新一万円札の肖像画に選ばれた偉人です。彼がとあるプラットフォームを導入したおかげで日本は大きく発展し、今の我々の生活があります。それが「銀行」と「株式会社」。そして、そんな彼の考え方の根幹を成しているのが、多くの人に利益が還元されることで社会が豊かになり、やがて個人も豊かになるという「道徳経済合一説」。弊社も『DADA』を通じて利益が還元される未来を切り拓きたい。おこがましいかもしれませんが、彼の名を目にするたびにそんな想いが湧き上がってくるのです。