ハイジニーナケアの定着をめざし、確かな技術と知識を伝授
「ハイジニーナケアの定着をめざし確かな技術と知識を伝授
女性目線で正しくケアを」
ファンスクウェア株式会社
VIO脱毛専門サロン「Pulito(プリ―ト)」
代表取締役 藤森 暁子氏
【Profile】 Akiko Fujimori
22歳で脱毛サロンに入社、店長、マネージャー、事業本部長を歴任。2017年に運営元の薬局運営会社からサロン事業部及び化粧品開発部門の事業譲渡を受け、ファンスクウェア株式会社代表取締役社長に就任。その後、VIO脱毛に特化した脱毛サロン「プリート」を首都圏に5店舗展開。現在は女性のデリケートゾーンケアに関する正しい情報を発信するためのメディア事業と、化粧品『プラズゼロ』シリーズ、デリケートゾーンケア用品『ハイジニーナセラム』シリーズなどの開発・販売をも手掛けている。
具体的クレドを示し徹底した社員教育を実践
-新卒、既卒を問わず積極的に採用活動を行なっていらっしゃる印象を受けます。
藤森氏 創業18年目を迎える脱毛エステサロン「Pulito(プリート)」ですが、現在首都圏に5店舗を展開、おもにVIO脱毛に特化した高い技術で多くのお客様にご利用いただいています。スタッフは皆女性で、若い世代が多い構成ということもあり、採用専用サイトを自社で開設し、求人サイトも活用するなど積極的な採用活動を通してサロンを盛り上げる仲間を募っています。
-どのようなエステティシャン像を求めていらっしゃいますか?
藤森氏 弊社ではよくスタッフに向けて、「電車で座席をゆずれる人になろう」と話をするのですが、これは「他人に優しくできる」「優しさをみずから伝える勇気を持てる」人でいようということを分かりやすく伝えるもの。エステティシャンはお客様に奉仕する職業ですから、他者への優しさを持ち、それをきちんと形として伝えられることが大切です。エステティシャンを志して業界に入る女性は、元から人に尽くせる優しさを持った人が多いのですが、業務に忙殺されたり、プライベートとの切り替えがうまくできなかったりで時には正しい行動が欠けてしまうことも。そんなことのないよう、行動指針を明確にして全社で共有するようにしています。2001年の創業以来、弊社では「高品質」「無理な勧誘を行なわない「低価格・明朗会計」という明確な方針を設けて、安心してご利用いただけるエステティックサロンを日本文化に定着させることをめざして活動を行なってきました。こうした方針が根付いたことを確認し、昨年度からはこれを土台に新たに「信頼と向上」「万全のお迎え」「感動体験の提供」「人を思いやる気持ち」「美の追求」と5つのクレドを策定し、私たちの行動を具体化する取り組みを行なっています。
-理念を伝えることに加えて、品質を維持するための教育も重要ですよね?
藤森氏 「技術と教育のプリート」として、お客様に臨む「結果」を提供することを最大のミッションとしていますので、技術教育には力を入れています。業界で随一と言われる「美容専門学校」並の研修制度で、すでに美容業界で活躍されている方、美容について学んでこられた方は再復習として技術・知識を高めることができます。もちろん、未経験・異業種から美容業界に挑戦する方でもしっかりとした技術と接客力を身につけていただけます。「教育部」を設けて、専門スタッフが教育を行なうのですが、入社後1カ月はサロンに出ることなく「学び」に集中する期間としています。新卒、既卒を問わず、弊社が独自に制定したテストを必須として技術と知識をチェックし、それに合格しないことには店頭に出ることはかないません。また、長くサロンワークを続けていると自己流になることも。長く現場にいるスタッフよりも研修直後の新人の方がていねいな施術でお客様から評価を受けるなどという逆転現象もあり得るのです。そうした施術のマンネリ化を防ぐためにも、店長を含めた全社員に年一回テストを受けてもらっています。最低限の基礎的な知識を問うペーパーテストと、技術をチェックする実技テストです。
-評価制度についても教えていただけますか?
藤森氏 エステティシャンの評価というと「売り上げ」のみをベースとしてしまいがちですが、技術力や接客力なども評価対象に加え、「がんばれば報われる」評価制度を導入しています。お客様からの声も大切な評価材料として、きめ細かくフィードバックする仕組みになっています。
社内の大きなイベントは年次キックオフと忘年会。
サロンの結束をよりいっそう強める。
社内の連絡はSNSを活用。
業務内容からプライベートなことまで共有し、社員とコミュニケーションを充実させている
有名デザイン事務所に依頼して設計にこだわったという「プリート」店内。
落ち着いた中でも高級感のある内装は若い女性にも好評。
「「正しいデリケートゾーンのお手入れ」を普及させるべく製品も開発
2020年4月のBWJ東京にも出店予定」
社員間、サロン間の距離はSNSの活用で縮める
-人材の定着のために取り組んでいらっしゃることはありますか?
藤森氏 小規模の強みを生かし、2カ月に1回の全体会議や忘年会、新プロジェクトのキックオフミーティングなどであえて全員が顔を合わせる機会を設けています。また、ビジネス向けSNS「Workplace」を導入し、情報共有と交流の場として活用しています。ともすると伝言ゲームになってしまいがちな業務連絡をダイレクトかつ効率よく届けることができるのに加え、各サロンやスタッフ間の距離を縮めるうえでも有効だと感じています。
-サロン間の情報共有などにも注力していらっしゃるのですね。
藤森氏 私自身、エステティシャンとして長く現場にいましたが、自サロンの取り組みについてはよく分かっても、他店についてはまったく情報が得られないという状況を経験しました。そうした経験から、よいことも、悪いことも共有し、改善や進歩につなげることが必要と感じ、共有のための仕組みづくりには意識して取り組んでいます。全体会議の際に各サロンの課題や取り組みを共有したり、「こういう時はどうする?」などと事前に課題を出して意見交換をしてもらったりもしています。
-御社では女性の働きやすさを考慮した制度も取り入れていらっしゃいますよね。
藤森氏 人生100年時代と言われる昨今、女性たちもライフステージに合わせた形で働き続けることが求められています。産休育休の制度を整え、キャリアの継続をサポートしています。幸い、弊社のお客様には主婦層も多く、午前中のみといったニーズも高いので、時短勤務のスタッフもほかのスタッフと住み分けしながら続けることができています。さらに、サロンの現場に限らず別の形で会社に戻ることを選択できる仕組みづくりにも取り組んでいます。店長が出産を経て現場に戻るとしても、現実的に店長職を子育てと並行してこなすことは難しいもの。そうした役職者の次のステップとして、コスメティック事業やWEBメディア事業など、サロンに関わらない形の展開を広げ、選択肢を広げることをめざしています。
-今後の展望と業界に求めることを教えてください。
藤森氏 まずは、正しいデリケートゾーンケアを国内に定着させるため、確かな技術と知識を提供する取り組みを確実に進めていきたいと思っています。近年、特に若い世代向けにデリケートゾーンのお手入れについての情報も雑誌などで提供されはじめてはきましたが、その多くが「男性にいかに見せるか?」といった目線でのもの。女性目線で正しく自分の体と向き合うための情報はまだまだ不足していると感じます。間違ったお手入れは体調不良や病気、不妊などにもつながる可能性があります。そのため、お客様の意見を取り入れた専用の美容液や洗浄剤を開発するなど、新しい取り組みを始めており、来年4月のBWJ出展に向けても準備を進めているところです。介護脱毛の分野にも注力する必要性を感じていますし、今後は医療との連携なども視野に、弊社が率先してデリケートゾーンの未病域でのケアを啓蒙していきたいと考えています。