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大切なのは「個」を伸ばす教育。

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「自立した女性たちが「ありのまま」で輝ける

 そんなステージをめざして」

 

 

 

株式会社アンジェラックスプランニング

「アンジェラックスエステサロン」

代表取締役 大杉 みどり氏

 

【Profile】 Midori Osugi

エステティシャンとして20年のキャリアを積んだ後、株式会社アンジェラックスプランニングを設立。エステティックグランプリでは、顧客満足部門で3度の全国1位、モデルサロン部門で2度のグランプリを受賞。2018年、Forbes JAPANWOMEN AWARD にて、5位を受賞。2019年、「働きがいのある会社」ランキングのベストカンパニーを2年連続受賞。女性に勇気を与え、輝かすことを使命に活動中。

 

 

 

大切な社風を守りたいから採用ではマインドを重視


 

-サロンのクオリティを維持するための人材採用について、

 御社の取り組みを教えていただけますか?

 

大杉氏 技術はもちろん、顧客単価も安くはないサロンなので、お客様にていねいに対応する人間力が必要。社会人経験の乏しさがネックになる新卒の採用には、正直抵抗を感じていました。しかし、「エステティックグランプリ」と関わり、他サロンとの横のつながりを持つようになると、サロンはもちろん業界の未来のためにも若い人材を育てていかなければと考えるようになりました。4年前から新卒採用をはじめたのはこのためです。実際、採用してみてわかったのですが、新卒者にも精神的な面で高い成熟度を持っている人材が多くいます。一概に「中途=成熟、新卒=未熟」とは言い切れないのです。技術として高いものを持っていても、中途採用者でも精神的には未熟で「働く」ということの捉え方や仕事との向き合い方などに問題がある方も。技術の不足は教育で補えても、仕事に向かう姿勢を矯正することはなかなか難しいものです。その点、仕事への姿勢や意欲の面で弊社にマッチする人材であれば、未経験の新卒者でも最初の1~2年でぐんと成長することがわかったのです。 

 

 

-採用の決め手は御社の社風とのマッチングということでしょうか?

 

大杉氏 社風に「合う、合わない」は重視します。どんなに仕事ができても、チーム力を低下させてしまうのであればその人材は弊社にとってマイナス。弊社には純粋に「やりたいこと」に向かって前向きにチャレンジする、ポジティブな社風があります。仲間たちと一緒に大切に育ててきた社風を守るためにも、そこにマッチしない人材の採用は見送るようにしています。また、スタッフ側も入社後に社風とのギャップに気づいてしまうのはつらいもの。そうしたギャップによる離職を避けるためにも、採用前には弊社の「ありのまま」をお見せするように心がけています。私個人もインスタグラムで頻繁に活動を発信していますが、これは社員向けのメッセージでもあります。社長みずからが「ありのまま」の姿を見せることで、一緒に成長していきたいという願いもあります。

 

 

-SNSを活用した採用活動が、業界でも注目を集めていますね?

 

大杉氏 採用イベントをインスタライブで配信したり、パーティ形式の「裏会社説明会」を開催したりしています。SNS時代の申し子ともいえる学生に寄り添う形で採用活動を行なうことで、業界に新風を巻き起こせればとの思いからはじめました。やってみると、社員のSNS人脈なども活用でき、よりターゲットを絞った広報が可能になることもわかりました。イベントでは、事前に弊社スタッフから集めたアンケートの結果を発表したり、社長への質問に応えたりして、弊社の実態を包み隠さず楽しんで見てもらえる工夫をしています。「ありのまま」を見せることで、「ここに入りたい!」と思ってくれる人材をセグメントすることができます。おかげさまで、現在は離職が5%以下と非常に少なく、高い定着率でスタッフを確保できています。

 

 

 

毎年並々ならぬ想いを持ってエスグラへ出場。会社を挙げて全力で取り組んでいる。

 

代表取締役みずからが店舗でミーティングを行なうことも。
現場でしかわからない声を吸い上げる。

 

全社員での表彰式では、がんばったスタッフたちが輝く場所でもある。

 

 

 

「大切なのは「個」を伸ばす教育。

 価値ある「個」として認められればみずから輝き、チームの成長へ」

 

 

 

オーダーメイドの教育で個性を伸ばしチームを育成


 

-定着率を高める秘訣があれば教えていただけますか?

 

大杉氏 ひと言でいうと「オーダーメイドの教育」です。誰にでも強みと弱みがあり、可能性のない子はいないというのが弊社の人材育成の考え方。一律に型にはまったロールモデルをめざすのではなく、それぞれの個性を伸ばし、自分なりにチームに貢献することで、みずからの存在価値を見出してほしいと思っています。研修はレベルに合わせて行ないますが、1~2人という小さい単位での研修も多々あります。プログラムに人を合わせる教育ではなく、人にプログラムを合わせる教育こそが、個々の成長を引き出すのです。弊社ではチャートを用いてスタッフそれぞれの個性を確認し、面談の際にもストレングスファインダーを用います。社員一人ひとりの人生を豊かにするこうした体制こそが、会社の成長につながると信じています。

 

 

-「個」を大切にすることがチームの発展にもつながるというお考えなのですね?

 

大杉氏 私自身、長くエステティックの現場を経験してきましたから、「営業時間はお客様のためのもの」という思いが強く、教育に時間を割くことには抵抗がありました。「見て盗め」「自分で学べ」が当たり前の時代を過ごし、時間があるなら教育より営業や施術に費やすべきだと考えてきたのです。しかし、今から10年ほど前にスタッフの大量離脱を受け、残ってくれたたった2人のスタッフのために何ができるかを考えはじめた時から「教育」への意識が変わってきました。とはいえ、最初の新卒採用ではまさかの離職率100% ! 信頼したスタッフがどんどん辞めていく悲しみを経験しながらさまざまな方法を模索するなかで、離職の裏には「自身の存在価値への懐疑」があると気づいたのです。ありのままの自分を価値ある存在として認められることで、人は輝くことができます。自分自身を心底好きになり輝くためには、価値ある「個」として認められることが必要なのです。会社はそれぞれの個性が輝けるステージを用意すればいい。ステージさえあれば、一人ひとりがそれぞれの個性を生かし、次々とやりたいことを見つけて新しいことに取り組み、どんどん進化していってくれるのです。そして、「個」が進化すれば会社も進化する。それに気づいてからは、人材育成やチームビルディングにおいて大きな手応えを感じられるようになりました。私自身、長い間つらく感じることも多かった経営を心から楽しめるようになったのです。

 

 

-2019年秋、新形態のサロンをオープンされたそうですね。

 

大杉氏 港区外苑前に月額制のフェイシャル専門“スマートエステ”「ENTRANCE(エントランス)」をオープンしました。全国に6店舗を展開している「ANGELUX(アンジェラックス)」がエステサロンの王道であるのに対し、「エントランス」はいわばエステティックの「入口」をコンセプトとしたサロン。これまでエステに興味はあるけれども利用してこなかったという20代30代女性がターゲットです。セールスや過剰なサービスを排除し、シンプルでリーズナブルな料金体系を設定。忙しい現代女性がすき間時間に気軽にお手入れに活用できることをめざしたサロンです。新コンセプトのサロンを通じて、女性にとってエステティックをさらに身近に感じていただければと考えています。

 

 

-エステティック業界の未来に期待することは?

 

大杉氏 お客様もスタッフも、関わるすべての女性たちがありのままの自分を愛し輝ける舞台でありたいと願っています。女性の美を守り、予防医学的な観点から健康を支えるプロとして、いつかエステティシャンが女性のあこがれる職業のナンバーワンになることを期待しています。