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“現場第一”の原点に立つ

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“現場第一”の原点に立ち

新たなステージへと進む

足掛かりとしての1年に

 

 

 

株式会社ソシエ・ワールド

「エステティックサロン ソシエ」

代表取締役社長 東海林 憲昭氏

 

【Profile】 Noriaki Shoji

株式会社伊勢丹(当時)に入社。2014年4月より株式会社新潟三越代表取締役社長、2015年より株式会社三越伊勢丹ホールディングス 執行役員 営業本部 エリア・チャネル事業統括部長、2017年4月より株式会社三越伊勢丹 執行役員 三越銀座店長を歴任。2019年10月より現職。

 

 

自分たちの「強み」を現場から見つけていきたい


 

-10月に代表取締役社長に就任されてから、取り組まれていることを教えてください。

 

東海林氏 今は、まず全国に広がるソシエのサロンを回り、店舗の雰囲気やそこを訪れるお客様の様子を見ることで、現場の空気感をつかむ期間としています。そして可能な限り店長やチーフと面談を行ない、今現場が抱える不安や問題を洗い出しています。これまで百貨店で婦人服を中心に担当してきた私にとっては、美容分野は経験したことのない未知の世界ではありますが、この1カ月、各サロンを回ってみて「お客様と接する」という点は、これまでと何ら変わらないと感じました。私は、これまで新しい店舗の立ち上げや、地方再生への取り組みに関わった経験もあります。ですので、こうした経験を生かし、ソシエ・ワールドの新たな挑戦・発展に貢献していきたいと気持ちを新たにしています。

 

 

-まずはどのような施策を進めていこうとお考えですか?

 

東海林氏 エステティックも百貨店も、お客様に従事する仕事であり、その“基本”は一緒ではないかと感じています。ではその基本とは何か。それは「現場が一番大事」だということです。弊社は美容室からスタートし、その後、美容室の片隅でエステをはじめ、気づけば今年には、創業60周年を迎えました。企業にはいわゆる「30年説」というものがありますが、弊社はさまざまな時代の変化を超え、事業拡大を繰り返しながら二回り目を終えることができたというわけです。まさに節目を迎えた今、さらなる継続のためには、創業以来、歴代の社長がつねに口にしていた「現場主義」という考え方にもう一度立ち返るべきだと考えています。会社組織のなかの本社が拡大して細分化が進んでいくと、それぞれの組織が自分たちの役割をしっかりと果たそうと努力するあまり、現場での業務量が増加し、複雑化することも少なくありません。まずは、やや薄れつつある「現場主義」の理念を再確認するとともに、労働環境や仕事の進め方などを見直し、現場のスタッフがやりがいを持ってイキイキと輝くことができる、そんな働き方の提案をしていきたいですね。大きく時代が変わる今は、まさに変革のチャンスだと捉えています。これから企業として、新たな成長を続けていくためには、自分たちが本来あるべき姿を見つめ直すことが必要だと思っています。それによって、自分たちの「強み」は何か、それを見つけていきたいですね。

 

 

株式会社ソシエ・ワールドの創業者である、髙橋 孝氏と社員が「美の本質」を追求し続けてきた
ソシエ・ワールドのヒストリー、「感動へのこだわり」は、東海林氏にとっても欠かせないバイブルだそう。

 

 

 

みずからの強みを明確にし、次なる発展の足掛かりに


 

-就任からの数ヶ月、全国のサロンを回るなかで、御社の「強み」はどこにあると感じていますか?

 

東海林氏 私が感じる弊社の強みは2つ。ソシエを愛し、そして支えてくださる素晴らしいお客様がいること。そして、素直で、素晴らしいサービスを提供しているスタッフがそろっていることです。これまでの経験のなかで、百貨店でもお客様サービス向上に携わる機会はありましたが、実際にエステティックサロンで働くスタッフの笑顔の素晴らしさを見ることができると、これこそまさに弊社の“財産”だという想いを強くしています。

 

しかし弊社にはまだ、お客様やスタッフの「何が」そして「どんな点が」素晴らしいのか、それを示す“共通の言語”がありません。私には今後、この会社で実現したいことがたくさんあります。しかし、それを実行するためにはこの会社の「強み」が何かをしっかりと見直していくことが重要だと思うのです。また、スポーツでもスランプに陥ったときに何をするかというと、基本に戻って練習をしてスランプから脱出するように、企業もよいときばかりではなく厳しいときでも早く業績を回復できるようにするためには基本に戻ることが大切です。創業者が創った「企業理念」を改めて読み返してみると、まさに接客業にとって大切なことが書かれており、この原点に立ち返ることが重要だと考えています。従業員が何をめざしていくかを共有化させ、“ONE TEAM”となり、働く仲間が「お客様のために心を込めて―より美しく、より豊かに、より自分らしく生きるために―」この実現に向けて取り組んでいき、弊社の新たな展望・ビジョンの発表につなげていきたいですね。

 

 

2018年に静岡伊勢丹7階にオープンした「エステティックサロン ソシエ」は静岡市初出店となった。

 

 

 

一流の技術と心、夢を育む充実のキャリアアップ制度


 

-最高の接客と最高の技術を提供するために、教育制度もかなり充実させているそうですね。

 

東海林氏 そうですね。実際、弊社の教育制度やキャリアアップ支援制度は、業界のなかでもトップクラスに充実しているのではないかと自負しています。今、全国どこのサロンに行っても、スタッフの素晴らしい笑顔やあいさつに触れることができます。やはりそれは、創業60年のノウハウをプロから学ぶことができる、独自の教育制度による賜物ではないでしょうか。弊社では、入社直後は1カ月半の期間を設け、プロの講師からエステティシャンとしての技術はもちろん、社会人としてのマナーもしっかりと学ぶことができるカリキュラムを用意しています。また研修の合間に店舗での実習も行なっているため、実際の現場で感じたこと、そこで見つけた課題を見つめ、さらに学びを深めていくこともできます。また、サロンに配属されたあとも、年齢の近い先輩がマンツーマンで業務指導や技術指導を実施する「シスター制度」や、定期的に学びを深める「フォローアップ研修」などがあり、確実なスキルアップを実現するための制度が整っています。今後、時代やニーズに合わせて職種や教育制度を見直すこともあるかもしれません。しかし一人ひとりが高い専門性をもった「プロ」として活躍できるよう、これからも全力でサポートしていくつもりです。

 

 

-最後に、これからの美容業界に向けて期待すること、メッセージをお聞かせいただけますか?

 

東海林氏 今、百貨店で注目している分野は、食と美容、そして健康に関するものがほとんどです。そんな多くのお客様が求める食・美容・健康という、すべてのサービスを提供できるのがエステティックであり、まだまだ発展できる余地のある、大きな可能性のあるサービスだと思っています。

 

エステの最大の強みはお客様に手で触れ、ケアができること。そしてお客様から「ありがとう」と言ってもらえることは、接客をするうえでの最高の喜びでもあります。まずはその喜びを感じるための努力を継続し基盤を固め、お客様の新たなニーズを掘り起こしていく。そしてその結果、新しいサービス・新しい技術・新しい業態開発につなげていきたいと思います。それを実現してあげられる環境をつくり、提供できる場を整えていくことが、私に課せられた最初の“課題”だと感じています。

 

 

今年2月にオープンした立川店。
首都圏の伊勢丹には初出店となり、「ヘアーサロン ソシエ」と併設されている。